年金だけで足りないなら… 老後のお金3つのポイントいまさら聞けない大人のマネーレッスン

2019/7/4

老後のお金 その対策は?

では生活費が年金額を大きく上回りそうであれば、どうすればいいのか。以下の対策を検討して下さい。

(1)iDeCoへ加入
(2)公的年金の繰り下げ受給
(3)老後の生活費の見直し

自営業者・フリーランスにおすすめしたいのが、個人型確定拠出年金「iDeCo」への加入です。

iDeCoは、自分で年金を上乗せできる制度。「個人年金」と考えてもよいかもしれません。iDeCoでは、専用の個人口座に掛け金を拠出し、自分で運用商品を選びます。選んだ商品の成績次第で、年金額は変わります(元本が保証されている商品もあります)。

掛け金は全額が所得控除され、運用益は非課税、受け取る時にも税制優遇があります。支払う税金が減るため、効率的に老後のお金を準備することができます。

iDeCo 掛け金の上限

iDeCoの掛け金には、上の図の通り、上限が定められています。自営業者やフリーランスは、厚生年金がないため、掛け金が多く設定されていますね。掛け金は5000円以上から、1000円単位で自分で決められます。年に1度変更することができ、一時的に拠出をストップすることも可能です。

ただし、積み立てたお金は60歳まで引き出せません。iDeCoはあくまで老後の資産作りが目的の制度です。掛け金は無理のない範囲で設定して下さい。

女性の場合は年金の受給開始を70歳まで繰り下げてもメリット

つづいて「繰り下げ受給」です。

年金は、本来65歳から受け取り始めますが、繰り下げ受給を選択すれば、66歳以降の希望する時点に受給開始を遅らせることができます。

受給開始を1カ月遅らせるごとに金額は0.7%増え、上限の70歳まで遅らせると42%増額されます。増額された支給額は一生続きます。

仮に、受給開始を66歳に繰り下げた場合、受取総額は77歳10カ月で65歳受給開始の受取総額と同額になります。上限の70歳まで繰り下げると、65歳受給開始の受取総額と同額になるのは81歳10カ月。約12年です。それ以降は差が広がっていきます(税金社会保険料負担を除く)。

2017年の日本人の平均寿命は、女性が87.26歳、男性が81.09歳でした。女性は平均寿命が長いので、繰り下げ受給を選択すると、総受取額が増える可能性が高そうです。

65歳以降、何らかの形での収入がある、あるいは当面の生活費に余裕があるならば、受給開始を遅らせるという選択肢も有効でしょう。

長く働けるような仕事を探しておくことも老後の備え

ここまでは、「入」を増やす方法をご紹介してきましたが、「出」を減らす方が簡単な場合もあります。退職後は、車にかかる費用、通信費、保険料など、本当に必要かどうかを見直すとよいかもしれません。この点については別の機会に詳しくお伝えします。

また、先述しましたが、老後のお金の対策として1番有効なのは「寿命が延びた分、長く働く」ことです。国も、高齢者に働いてほしい、そして税金や保険料を納めてほしい、と考えています。高齢者が働きやすい、働くと有利になるような制度が作られることは間違いないでしょう。

とはいえ、そもそも自分がやりたい仕事があるのかという問題もあります。人によっては見つからないかもしれませんし、そもそも健康でないと働けません。確かなことは言えませんが、上記のような対策をとりながら、あまり深刻にならず、長く働けるような仕事を探しておくことも老後の備えにとっては大切でしょう。

井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員。経済エッセイストとして活動。近著に「5年後ではもう遅い!45歳からのお金を作るコツ」(ビジネス社)、「身近な人が元気なうちに話しておきたいお金のこと介護のこと」(東洋経済新報社)、「100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!」(集英社)、「届け出だけでもらえるお金」(プレジデント社)など。
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