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中国の蒸留酒「白酒」 強い香り、カクテル人気じわり

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NIKKEI STYLE

中国を代表する蒸留酒「白酒(パイチュウ)」がひそかにブームになっている。アルコール度数が高く、フルーティーだが独特の強烈な香りがあるため、日本人には向かないとされてきた。ただ、カクテルやハイボールなど飲み方を工夫する飲食店が相次ぎ登場しており、日本でも徐々に広がっていきそうな気配だ。

都内・新宿のバー「ジェレマイア」。シェーカーやボトルを使ってパフォーマンスをしながらカクテルをつくる「フレアバーテンディング」を見ながら、世界各国のお酒を楽しめるお店だ。昨年末にオープンした。

店長の市川寛さんは、日本バーテンダー協会(東京・千代田)主催の「全国フレア・バーテンダー技能競技大会」での優勝経験もある人物。11月に中国の四川省で開かれる国際バーテンダー協会(IBA)の競技大会に向け、日夜、白酒を使ったカクテルのレシピ作りに励んでいる。

だが、お店の売りの一つは珍しい中国酒のカクテルが飲めることだ。

中国酒といっても、赤茶色のトロリとした舌ざわりの醸造酒「紹興酒」ではなく、無色透明の蒸留酒「白酒」をベースとして使う。白酒はアルコール度数がおおむね50度前後と、紹興酒の2倍以上ある。洋酒ではテキーラやウオッカに近い味わいだが、フルーティーな香りが特に強烈だ。

中国ではストレートで飲むのが一般的だが、アルコール度数の低いお酒を飲み慣れた日本人には広まりにくい。そう考えた市川さんはカクテルにして提供している。特に人気なのは、レモンの汁などを混ぜた「さっぱり系」とチョコミントなどを使った「甘めタイプ」だ。カクテルにしても独特の香りがのど越しにほんのりと漂う。

常連客の松本和子さん(53)は、白酒カクテルのファンの一人だ。今春、市川さんに薦められ飲むようになった。「ちょっぴり刺激が欲しいときに飲みたくなる」といい、2杯目以降で頼むことが多い。

多くの日本人にとって、飲んだこともなく、知られてもいない白酒だが、飲んでみてファンになる人たちが増えており、白酒カクテルは女性客から人気という。

価格は使うお酒の種類によって異なるが、1杯1200~3000円(税抜き)。同店では顧客の希望に合わせたテイストのお酒をつくってくれる。

最高級品は1本1億円以上

白酒は、中国で古くからつくられていた伝統酒の一つだ。色が透明なことから白酒と呼ばれている。コメが主な原料の醸造酒である紹興酒と違い、高粱(コウリャン)という穀物を原料にした蒸留酒だ。

一説によると、中世の元朝(1271~1368年)の時代に中央アジアからシルクロードを経て中国へ伝えられたという。アルコール度数が20度を超えるお酒をつくる技術は、それまで中国になかったようだ。

白酒は中国では贈答用や客をもてなすお酒として広く飲まれている。全国各地でつくられているが、内陸部の四川省や貴州省が産地として特に有名だ。中でも最高級ブランドとして知られるのが、貴州省でつくられる「茅台(マオタイ)酒」だ。

田中角栄元首相が1972年に日中国交正常化で訪中した際の宴席にも出された。価格は1本(500ミリリットル)3万円以上。古い品は1億円以上の高値で売買されることもあるほどだ。

産地の貴州省マオタイ鎮(鎮は中国の行政単位で日本の町や村に相当)は、古くから良質な酒をつくるところとして知られる。現在の技術とは異なるとみられるが、古くは前漢の武帝の時代(紀元前141~87年)に宮廷へ献上されたとの記録も残っている。

広がる消費の裾野

中華圏では広く知れ渡っている白酒だが、クセの強さから日本市場の開拓は進んでいなかった。

従来、日本国内での白酒販売はインバウンド(訪日客)需要がほとんどを占めていた。中国では高価な偽造品が多数出回っているのに対し、中国などからの旅行者が「日本であれば偽物が流通していない」とみて、マオタイ酒など高級品を購入する需要があった。

ただ、状況に変化も見られる。日本国内の需要が新たに登場、市場の伸びをけん引し始めている。中国酒の輸入販売を手掛ける日和商事(東京・渋谷)によると「ここ数年で中華料理店や国内の酒屋などへも販路が広がり、売り上げが伸びてきた」。ハイボールやカクテルで、ウイスキー代わりに使うケースが増えているためだ。1本3000円までの比較的手ごろな価格の商品が売れているという。

白酒市場の拡大に、大手の酒屋も目をつける。全国チェーンを展開する酒屋大手のやまやは、2018年度に白酒の仕入れを大きく増やした。白酒を販売する店舗は全国で前年度の6倍強の約170に広げ、販売する銘柄数も2.5倍の15に増やしたという。仕入れ担当の大竹聡商品部長は「クラフトジン、ウオッカなど香りの強いお酒が好まれるなか、白酒にも商機がある」とにらんでいる。

やまや道玄坂上店(東京・渋谷)では、中国沿岸部の江蘇省でつくられる「洋河大曲」などのブランドが人気だ。中年の男性などが買いに来ることが増えているといい、日常的に飲む人たちがじわじわと増えているようだ。

激辛ブームも追い風に

最近になって白酒の人気が出てきた背景の一つに、「激辛」で有名な四川料理のブームもあるようだ。

19年4月、本場の四川料理を楽しむイベント「四川フェス」が新宿区で開催された。来場者は延べ10万人。初めて開催された17年と比べ5倍となる盛況ぶりだ。

四川地方は白酒の生産も盛ん。「白酒の香りの強さが、辛みとコクの強い四川料理にぴったり。激辛ブームは白酒の需要喚起につながるのではないか」と、四川フェス実行委員長の中川正道氏は指摘する。来場者が四川地方でつくられた白酒を飲みながら四川料理をつまむ光景も年々増えているという。

在日中国人が増えたり、中国系企業が日本へ続々進出したりしていることも追い風になっている。中国では白酒で接待することが多い分、「ビジネスマンを中心に注目されるはず。さらに普及が進むかもしれない」(やまや道玄坂上店の渡辺剛店長)と期待する声もある。

バー需要を狙った中国企業の売り込みで白酒を使ったお酒のイベントは世界各地で増えており、白酒はバーを起点に普及していく可能性もある。

じわじわと人気が出てきている「中国の至宝」白酒。一度挑戦してみて、中国五千年の歴史に思いをはせてみるのはどうだろうか。

(高野馨太)

〈訂正〉6月28日5:40に公開した「中国の蒸留酒『白酒』 強い香り、カクテル人気じわり」の記事中、「茅台(マオタイ)酒」の説明で「中国政府から公に『国酒』としても認められている。」とあるのは、誤りでした。本文は訂正済みです。

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