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和菓子と日本酒は意外にマッチ 異色のペアリング体験

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料理の一皿一皿にあわせてソムリエが最適と考える酒を組み合わせるペアリングがブームを呼んでいます。そんな中、和菓子と日本酒のペアリングを楽しませるユニークな企画を開いているのが「和菓子 薫風」(東京・千駄木)。日本酒のお供といえば、塩辛のように塩味の利いた珍味、あるいは発酵食品のチーズなどが定番ですが、実は和菓子とも合うそうなのです。そこで薫風のペアリング・コースを体験してきました。

千駄木駅から徒歩3分のところにある「和菓子 薫風」は、杉玉が飾ってある落ち着いたたたずまいの外観。店内に入ると10坪ほどのスペースに看板商品であるどら焼き、白羊羹(ようかん)などがディスプレーされています。そしてその脇には日本酒の瓶がずらりと並べられ、和菓子を日本酒と楽しむことを提案している店だとすぐにわかります。

店主つくださんが一人で切り盛りしており、日本酒とお菓子のペアリングや、和菓子の持ち帰り販売などをしながら、季節の和菓子教室や和菓子と日本酒を楽しむ会など毎月イベントも開催。他に百貨店の各種イベントなどでも期間限定で和菓子を販売しています。

今回は月に1回開催される和菓子と日本酒をコース仕立てで味わう「マリアージュの会」に潜入。オリジナル和菓子5種に日本酒5種をペアリングさせたコース8500円(税込み)が基本ですが、和菓子3種と日本酒3種の5500円(税込み)という月もたまにあります。いずれも毎月限定5席のプレミアムシートで、特に女性に大人気。このため毎月連続での参加はできないことになっています。

筆者が参加した5月のイベントも5人全員が女性でした。和菓子好きもいれば、日本酒好きもいて、それぞれが和菓子と日本酒のペアリングは初体験なので興味津々。最初につくださんが登場し、「5月は山菜や豆類、青菜野菜などの苦味が取れてきておいしくなる時期。またサンショウやショウガ、スパイスなど、薬膳では気を発散させると言われる食材なども出回って、生命力があふれ出す時期です」と季節の説明をしてくれます。仕事帰りの女性たちは、自然界に思いを巡らせ、気分が落ち着いてリセットされ、別世界に誘われていきます。

バラの香りに包まれたぜんざいと日本酒のマリアージュ

1品目は「薔薇の寒天善哉(ぜんざい)」。東京・世田谷で無農薬栽培されたバラを砂糖シロップにつけて寒天にのせたぜんざい。食べた後の吐息まで染まるようなバラの香りにたっぷり包まれながら、食感が楽しい白キクラゲと大納言つぶあんをいただきます。甘すぎず、上品な味わい。それに合わせる日本酒は、同じように香りが華やかな「鳳凰美田 Wine Cell 純米吟醸 無濾過 本生」(栃木・小林酒造)。

日本ソムリエ協会公認ワインアドバイザーでもある、酒店「いまでや」の白土暁子さんが日本酒をセレクト。白土さんによると、「ワイナリーから分けてもらった酵母で醸した日本酒なので、ワインのような酸味を感じる」とのこと。確かに酒の独特の香りはバラとも似ていて、少し甘酸っぱいので無ろ過生原酒だけれども重くないのです。和菓子だけれど軽くて甘すぎず、日本酒とも合います! ペアリングの新しい可能性を感じながら2品目に突入!

抹茶をからめた麩まんじゅうはしっかりした日本酒と合わせる

店内のテーブルにお客と店主が対面するかたちで向き合い、話を聞きながらコースが進んでいきます。2品目ではつくださんが目の前で抹茶をたててくれました。茶わんの中で茶せんが激しく動き、そこに一緒に味わう日本酒も少し加えられて、麩(ふ)まんじゅうの上にできたての抹茶がかけられていきます。

最後に上にピンク色のシソの花をあしらって完成かと思いきや、いったんおわんには蓋がかぶせられるのです。香りを閉じ込めるとのこと。その間、つくださんの話を聞きながら「八十八夜、茶摘みが盛んな季節」と改めて日本の時節や抹茶文化を意識しながら料理(和菓子)と向き合います。

ひと呼吸置いて、おわんを開けたら感動! 抹茶とシソの香りが辺りにふんわりと広がります。新緑の野山に花が咲いたような美しい盛り付けも感動的で、参加者全員がスマホ撮影。もちもちとした麩まんじゅうに、ほどよい苦みがある抹茶をからめながら味わいます。麩まんじゅうの中にはあんこも入っているのですが、それほど甘すぎません。同店では2品目はこのように温かいおわんものをいつも提供しているのだそう。

合わせる日本酒はうま味のしっかり感じられる「菊姫」(石川・菊姫)の山廃純米酒。しかも冷やと熱かんの両方をおちょこで少しずつ飲み比べできるのがいいのです。「料理にお酒の温度を合わせるだけで、料理との相性が良くなることもあります」と白土さん。約2年熟成させた酒で、温めると香り豊かになり、うま味やコクもさらに広がります。この蔵元では兵庫県特A地区の山田錦を厳選使用しているらしく、酒米に対する作り手のこだわりなども白土さんからうかがいました。

インゲンと白ゴマの浮島はキレのある日本酒と楽しむ

3品目はインゲンと白ゴマの浮島(蒸し菓子)。お客の目の前で浮島を型から出すと(下写真の左)、芸術的な美しさのインゲンの寒天がお目見えして、歓声が湧き上がります。

今が旬のインゲン豆もこんなふうに蒸し上げると、野菜のお菓子といった具合で、初対面のお客同士も会話が弾み、かなり盛り上がりました。自分が想像していた和菓子とはぜんぜん違う世界観にただ驚きます。

お客の目の前で浮島を切り分けてくれるのですが、インゲンに包丁が入るたびにキュ!キュ!と音が鳴ります。新鮮だからこそのインゲンの弾力。口に含んでからもその食感やインゲンの青々しい豆風味を存分に堪能できます。透き通ったインゲン寒天にはコアントロー(オレンジリキュール)も少量使われていて、豆風味&ゴマ風味にかんきつ系の爽やかさもプラス。

つくださんは「インゲン豆のゴマあえのお菓子版です!」と分かりやすいように説明してくれて最初は納得。だが味わっていくうちに、「いやいや、そういうお総菜レベルの普通のおいしさではない。次元が違う。もっと上品で豆が濃厚」と思えてきます。同店では3品目はいつも旬の野菜を使った和菓子らしくない一品なのだそう。

そしてそれに合わせるお酒は「山形正宗 赤磐雄町2017」(山形・水戸部酒造)。「雄町が得意な蔵元で、雄町特有の強さがありながらも後味にキレがあります。鼻から抜ける香りが杉のような木の香り」と白土さん。確かにインゲン豆の青々しい風味に、清涼感のある木の香りがうまく同調していて気分爽快。

2種のちまきはミネラルを感じる日本酒と合わせる

4品目はちまきで2種を用意。実サンショウ・豆チ(そら豆を発酵させたもの)を使ったスパイシーでコクのある塩味と、ナツメヤシ・マカダミアナッツなどを使ったやや甘めのもの。対照的な2つのちまきにお酒を1種類合わせる難しさは、想像しただけで悩みます。

もち米や道明寺粉の米のふくよかな香りがベースになった和菓子なので、同じような米のうま味のある純米酒あたりを合わせるのかと思いきや、運ばれてきたのは「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」(滋賀・松瀬酒造)というミネラルを感じる日本酒でした。珍しいタイプのペアリングで、味に集中するあまり、ほろ酔いも冷めていきます。

ワインであれば、余韻にミネラル感のある硬いイメージのものと出合うことがたまにあるかもしれないですが、この種の日本酒はユニークな味わいで頻繁に出合うことはないのかも。きもと造りの純米大吟醸を約2年熟成させているので、香りも味も複雑で、重厚に広がり、味わいに奥行きがあります。それがナッツのコクや豆チのうま味などとも合うのです。

「ちまきは重みがあるので、重めの酒を合わせがちですが、まったりしすぎることも。この酒は後味にミネラル感があって骨格が感じられ、どこか清涼感もあるので、どんどん食べ進められてしまう」と白土さん。

確かに、酒と道明寺、酒と実サンショウ、酒とマカダミアナッツ……。個性的な素材とのいろんな相性を確認するように吟味していたら、お腹もそこそこ膨らんでいるにもかかわらずあっという間にちまきをたいらげていました。当初私が考えていたどっしり純米酒では、確かに満足感はあっても食べ飽きてしまうかも。クライマックスのペアリングは精密に計算し尽くされ、ただ脱帽するばかり。

白味噌あんと餅のやさしい味わいに合わせる日本酒はバランス重視で

お料理のような和菓子が続いたので、最後は和菓子らしい1品で逆に新鮮。5月らしく柏もちが提供されました。

葉の香りや、白味噌あんと餅のやさしい味わいに癒やされます。餅は直前にわざわざつくださんがもち米からついたもので、ふんわりとやわらかく、口に含むととろけていきます。

お酒はバランスの良い「廣戸川 純米吟醸」(福島・松崎酒造)。それまで骨格のある酒や硬さ・キレのある酒も楽しんできたせいか、やさしくて穏やかな味わいにホッと癒やされます。「柏もちの白味噌と合いますよね。煮物など甘さのある和食にも合いますし、ぬるかんでもおいしいですよ」と白土さん。

あっという間に2時間半が過ぎました。つくださんの和菓子は独創性あふれ、和菓子の概念を超えた驚きのお料理でした。農家から直送の新鮮な旬の食材を使って、四季折々を表現し尽くしていました。それだけでも感動なのだが、それらに合わせる日本酒の見事なペアリングと解説。たった一度のコース体験でこんなに食文化や日本人の心にまで触れられるとは驚きでした。「食は人の心を豊かにする」――そんな言葉に納得したペアリング体験でした。

(取材・文 GreenCreate)

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