都の金融構想新組織、多彩な視点で発信を(安東泰志)ニューホライズンキャピタル取締役会長

日本には1800兆円といわれる家計部門の金融資産があり、具体的には多額の年金マネーや金融機関の預かり資産が存在する。これら巨額のアセットオーナー(資産の保有者)の存在は東京市場の最大の魅力だろう。内外の資産運用業者を育成し、また誘致する際の大きな武器となる。アセットオーナーにも参加を促し、資産運用業者などとのマッチングを進めることも大きな役割として期待される。

幅広い知見を取り込め

さらに同機構に類似した英国のThe City UKの例にならえば、東京市場の広範にわたる関係者、例えば金融関係の弁護士や会計士、バックオフィス業者など多様な会員を個人・法人を問わず招へいすべきだ。内外の幅広い視点から東京のビジネス環境を改善し、それをプロモーションしていくことが期待される。

東京がアジアナンバーワンの金融センターとして復活するのは容易なことではない。英国の独立系シンクタンクZ/Yenグループが各都市の金融関連の規制などをもとに算出する「グローバル金融センター指数」でみると、東京はロンドン、ニューヨークは言うに及ばず香港、シンガポールにも大きく水をあけられ、18年はついに上海にも抜かれて総合順位は6位に甘んじている。

このまま他のアジアの都市との差が開いていくのは日本全体としても憂慮すべきことだ。たとえば日本の金融業が国内総生産(GDP)に占める割合はわずか5%程度であり、英国の12%(The City UK調べ)に大きく見劣りする。仮にその比率を5%から10%に引き上げることができるならば、単純計算でGDPを約30兆円押し上げることになる。自民党は12年の総合政策集で「金融業のGDP比率を10%台に押し上げる」としており、小池知事が主導する「国際金融都市・東京」構想は、安倍晋三政権が掲げる「2020年頃までに名目GDP600兆円」という意欲的な目標を後押しするものともいえる。

この構想を実現するため、東京都はすでに「国際金融都市・東京のあり方懇談会」(以下「懇談会」)と「海外金融系企業の誘致促進等に関する検討会」(以下「検討会」)を立ち上げて論点整理をした(詳細は16年12月19日付本コラム「東京版『金融ビッグバン』を宣言せよ」)。その後、懇談会や検討会から具体的な提言がなされ、東京国際金融機構の設立以外でも関係各省庁の協力を得つつ着々と進められている。

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