都の金融構想新組織、多彩な視点で発信を(安東泰志)ニューホライズンキャピタル取締役会長

東京国際金融機構は東京市場の魅力を発信する役割を担う(6月7日に開いた設立記念式典)
東京国際金融機構は東京市場の魅力を発信する役割を担う(6月7日に開いた設立記念式典)
「新組織は東京が国際金融都市として成長するため幅広い視点からビジネス環境を改善し、それをプロモーションしていくべきだ」

一般社団法人「東京国際金融機構」の設立記念式典が6月7日、開かれた。数百人にのぼる関係者やメディアの前で、会長に就任した中曽宏氏(大和総研理事長、前日銀副総裁)や東京都の小池百合子知事が「東京を国際金融都市として復活させる」と意気込みを語った。筆者は東京都の顧問として同機構の立ち上げに関与した。その立場から機構の意義や課題などについて簡単に触れてみたい。

機構の設立は2016年に就任した小池知事の看板政策の一つである「国際金融都市・東京」構想の一環だ。金融都市として激しい国際競争に直面する東京都がイニシアチブを取って進めている。

官民一体で東京市場を売り込む

日本には全国銀行協会、日本証券業協会、日本投資顧問業協会など業態別の業界団体はあるが、「オールジャパン」として東京市場を海外に売り込んでいく組織がなかった。中央官庁では金融事業者の規制・監督をする金融庁はあるが、金融産業のプロモーションを担う機能はない。したがって東京都がその役割を担うべく業界横断的な組織の設置を後押しし、さらに同組織の会長が、英ロンドンの金融街シティーにならって設置した東京版「ロードメイヤー(市長)」として東京市場を海外に売り込むことは重要である。

これらの点については東京都だけでなく金融庁や日本貿易振興機構(JETRO)もサポートすることになっており、全銀協、日証協をはじめとする各業界団体のトップも合意している。まさに官民一体となって東京市場を売り込む体制だといえるだろう。

東京国際金融機構の定款によると、役割は(1)国際金融都市としての東京に関連する情報発信、(2)会員相互間の意見の交換、連絡及び連携、(3)金融に関する団体、業界等との意見の交換、交流及び連携、(4)海外の金融プロモーション組織、金融に関係する団体、業界との意見の交換、交流及び連携などとなっている。これまでのところ順調に立ち上がったといえるが、まだ課題は多い。

特に筆者が指摘したいのが同機構に参加する会員を拡充することだ。現在の会員は30社であるが、理事の多くはメガバンクや内外の大手証券会社などによって占められる一方、東京が国際金融都市として成長するために必要な、肝心の資産運用業者の参加は少ない。