批判も成長の糧、工夫凝らし楽しさ知る 吉田ちかさん
YouTubeクリエーター(折れないキャリア)
動画投稿サイト「YouTube」で英会話チャンネル「バイリンガール英会話」の動画コンテンツを投稿する。2011年、友人に英語を教えるために始めたチャンネルの登録者数は140万人に及ぶ。現在は3カ月ずつ海外に移住する生活を発信し、生きた英会話やライフスタイルの動画で人気を集める。
父の仕事の関係で小学校から大学まで16年間、米シアトルで過ごした。現地で起業したいという思いもあったが「日本へ行ってみたら」という父の助言もあり帰国。大手コンサルティング会社に勤務しながらネイルサロンを経営するなど様々なことに挑戦した。
動画投稿を始めたきっかけは友人に頼まれた英文の履歴書の添削だった。「aとtheの違い」を説明する動画から始め、次第にやりがいを感じるようになった。
「前置きが長い、テンポが悪い、つまらない」――。そんな中、初めて批判コメントを受け取った。「ユーチューバー」という言葉もまだなかった時代、視聴者からの批判に驚き、ショックを受けた。「普通の動画ではだめだ」と思うと、2カ月ほど動画を公開できなかった。
次の動画では通常の英会話のレッスンをやめ、当時流行していた「カンナムスタイル」を踊り、自分の心情を動画で表現した。編集にこだわるうちに、動画編集の楽しさにも気づいた。「クリエーターとして生きる覚悟ができました。この経験があったからこそ、今の自分があるのかな」と振り返る。
動画づくりは企画から撮影、編集、撮影先との交渉など基本的にすべて自らこなす。華やかなイメージとは対照的に地道な作業も多い。「自由な分、ついつい仕事を詰め込みがちになることもあります」と話す。
18年に第1子を出産。「娘をどこで育てたいかを知るために色々な国をみてみよう」という考えから、現在は夫と娘と3人で3カ月ずつ、オーストラリアのメルボルンなど異なる国で移住を重ねる。
娘が生まれてから「時間はつくれない」と気付いた。新しいやり方を模索する中、不安で踏み出せないこともある。「だけどやりたいことがあるなら勇気をだしてやるしかない」。「今だからこそ自分に言い聞かせないと」と笑顔で話す。
(聞き手は斎藤毬子)
[日本経済新聞朝刊2019年6月24日付]
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