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セクハラ泣き寝入りは防げるか 改正均等法の強化点

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NIKKEI STYLE

セクハラはしてはいけない――。今国会で改正男女雇用機会均等法が可決・成立し、職場でのセクハラ防止対策が強化された。セクハラ行為に対する価値判断を法律に初めて明記し、国の方針を明確にした。背景にはセクハラ被害が減っていない実態がある。安心して働ける社会の実現に向け、どう取り組むべきか。焦点や課題を専門家に聞いた。

中央大学名誉教授 山田省三さん 「責任を直接問えるように」

――今回の法改正の意義は。

「注目すべきは、自社の労働者が他社の労働者に対してセクハラ行為に及んだ場合、他社からの社内調査などの協力要請に応じる努力義務を新設した点だ。努力義務にとどまるとはいえ、セクハラの救済範囲が自社から他社に広がったのは、一定の進歩があったと評価できる」

「想定されるのは、中小企業の従業員が、取引先である大企業の社員からセクハラ行為を受けたようなケースだろう。取引を巡る力関係の影響から被害を言い出しにくかったかもしれない環境が、変わる可能性がある」

「今国会では職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける関連法が成立した。パワハラの関心が高まっているなか、改めてセクハラ対策が強化されたことも忘れてはいけない」

――今後の課題は。

「男女雇用機会均等法は企業などにセクハラ対策を義務付けるが、日本には行為そのものを禁じて罰する規定はない。実際にセクハラに遭った被害者が直接、加害者の法的責任を問えるような法整備を検討すべきだと考える」

「セクハラの本質は職場における地位利用にある。企業は研修などを通じてセクハラ対策を講じてきたが、注意すべきは様々な権限を持つ管理職だ。自分では気づかないケースも少なからずある」

「もっとも重要なのは一人ひとりの意識だ。セクハラ防止規定が1999年施行の改正均等法に導入されてから20年、対策は少しずつ進んできたが、残念ながらいまだ根絶できていない。法律や制度による被害救済には限界がある」

「セクハラ行為の多くは、相手を思いやる気持ちの欠如に起因している。セクハラの根絶には、相手の人格を尊重することが欠かせない」

(聞き手は江藤俊也)

元厚労省雇用均等・児童家庭局長 石井淳子さん 「働き方の進化に対応必要」

――厚生労働省でセクハラ防止に関わってきた立場から、法改正をどう評価するか。

「セクハラについて『行ってはならない』とする責務規定が法律に明記された意義は大きい。これまでの法律は事業主に配慮や措置を求めてきたが、今回は『セクハラはいけないこと』だと国の施策としてきちんと位置づけ、事業主や労働者にもその責務を求めた。何もない混沌からここまで進んだと思うと感慨深い」

「被害を相談した人に対し、不利益取り扱いをしてはいけないと法律に記されたことも大きい。調査に協力した同僚の不利益取り扱いもいけないと示された。セクハラは密室で起きることも多い。被害者の同僚から証言を得やすくなったことで、企業にとって事実確認の難しさが少し緩和されるのではないか」

「改正男女雇用機会均等法が1999年に施行され、私は指針作りに関わった。2007年の改正にも携わった。今回の改正は第3ステージに入ったと受け止めている」

――就活セクハラについて付帯決議に盛り込まれた。

「就活セクハラは初めて社会に出る学生たちの夢や意欲などを奪う。コンプライアンスの不徹底は良い人材を失うリスクになる。フリーランスで働く人へのセクハラも問題だ。企業はしっかり対策を強化してほしい」

「就活のOB・OG訪問のマッチングアプリやクラウドソーシングなどは以前はなかった。技術革新や働き方の多様化をよくウオッチし、起こりうる問題を想定した新しい対応が求められる。予防措置を講じることが大事だ」

「都道府県の労働局では、別々にあったセクハラとパワハラ、マタハラの相談窓口を3年前に一本化し、複合的な問題にも対応できるようになった。ハラスメントに悩む人のためにも行政の体制を万全にすることが不可欠だ」

(聞き手は関優子)

日本の取り組み、世界に遅れ


 今国会で成立した改正男女雇用機会均等法には、セクハラを「行(おこな)ってはならない」とする責務規定が初めて明記された。セクハラに関して相談した従業員に対し、企業が不利益な取り扱いをすることを法律で禁止した。国会の付帯決議では、就活セクハラなど多岐にわたる問題について防止対策を講じることが採択された。

 日本で初めて職場でのセクハラ防止策を規定したのは99年。企業などにセクハラ防止に向けて「配慮」するよう義務付けた。2007年には「配慮」から「措置」義務として強化され、行政指導に従わなかった企業名の公表も盛り込まれた。
 ただ、セクハラの被害は減っていない。厚生労働省によると、全国の労働局に寄せられたセクハラに関する相談は約7千件と「高止まりしている」(雇用機会均等課)。
 国際労働機関(ILO)は6月、職場でのセクハラや暴力を禁止する初の国際条約を採択した。職場でのハラスメントを刑事罰や損害賠償の対象として直接禁止する国は増えたが、日本には同様の規制がなく、取り組みが遅れているとの声も出ている。

一人ひとりの意識がカギ ~取材を終えて~

労働政策研究・研修機構の16年の調査によると、セクハラ防止に取り組んでいる企業は約6割。07年の改正男女雇用機会均等法は企業にセクハラ防止の措置を義務付けたが、徹底されているとは言い難い。実効性を高めるために、行政の監督強化や違反企業へのペナルティーなど踏み込んだ対応も求めたい。

石井さんも山田さんもセクハラを「意識の問題」と位置づける。法律が改正されても、性的な嫌がらせが他者に不快感を与えることを社会の一人ひとりが理解していなければ抑止にはつながらない。意識改革を促すための息の長い啓発が欠かせない。

(関優子)

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