じか火で焼いてガブリ 貝と酒のワンダーランドを巡る

名前通りのインパクト、「かいのみ」の「豪快蒸し」
名前通りのインパクト、「かいのみ」の「豪快蒸し」

酒を飲む際にはうまいつまみが欠かせないが、「貝」のつまみを専門に出す居酒屋が今急増している。貝の専門店といえば、王道は世界中にあるオイスターバーだろう。しかし味が良く、酒とも合う貝はカキ以外にも無数にある。今回は貝の魅力に注目した3店を紹介する。

1軒目はJR四ツ谷駅徒歩3分の「貝と地酒専門 かいのみ」だ。2014年の開業当初から客が絶えない、不動の繁盛店である。ここではカキをはじめ、ハマグリやホタテ、またシロガイ(サラガイ、ヒラガイともいう)など珍しい貝も提供。

生ガキや焼きガキの盛り合わせ、ホタテのバター焼き、ハマグリの酒蒸しなどが食べられるが(メニューは日によって変動)、名物は「豪快蒸し」(2480円、税別)と、冬も人気だという「貝の刺身」の盛り合わせだ(「貝刺し六種盛り2980円、同」と魚の刺し身も入れた「刺身六種盛り1980円、同」)。

「豪快蒸し」は名前通りの料理で、四角形の空き缶にその日のおすすめの貝が4~5種類盛り付けられてくる。卓上コンロに火をつけ10分ほどして、貝の口が開いたところを豪快にかぶりつく。ありきたりだが本当にうまい。プリプリ感が強烈、うま味も凝縮しているが、何よりこんな大ぶりの貝を何種類も食べる機会は少ない。手で殻をこじ開けて貝の肉を噛みちぎり、食べて殻を捨てる。繰り返していると、新鮮な素材を食らうとはこういうことかと実感し、気持ちも高揚してくる。

「かいのみ」では全国の地酒50種類以上が自由に飲み比べできると大好評

また同店には時間制の日本酒セルフ飲み放題(60分1300円、90分1700円、120分2000円、150分2500円、180分2900円、同)のサービスもある。菊地建吾店長が選んだ全国の地酒約50種類から、好きなものを好きなだけ客自身が注ぐ。「豪快蒸し」の貝と一緒に、菊地店長がこの時期おすすめの、香川と千葉の地酒を飲んでみた。ほんのりした甘みと酸味が貝の軟らかな塩気と絶妙に合う。なるほど、人気が出るわけだ。

「全国から毎日届く旬の貝をお出しし、日本酒もボトルがすぐ空になるため、毎日約10本ほど入れ替えています。お客様は近隣に勤める40~50代のサラリーマンが多く、半数以上がリピーターの方ですが、飽きずに楽しんでいただけているように思います」(菊地店長)