投信にさらなる手数料下げの波 運用大手がネット直販

写真はイメージ=123RF
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投資信託の大手運用会社で、販売手数料ゼロの投信をインターネット経由で直接販売(直販)する動きが広がっている。証券会社や銀行など販売会社の店舗に行くより、ネット経由のほうがハードルが低いと感じる個人の投資初心者にコストの安さも訴えることで、中長期の資産運用を始めるきっかけをつくる。

三菱UFJ国際投信は3月、個人投資家向けに投信をネット直販するサービスを始めた。「eMAXIS Slim」シリーズや「eMAXIS 最適化バランス」シリーズなど計17本を販売している。

独立系以外の大手運用会社では、三井住友アセットマネジメント(現三井住友DSアセットマネジメント)が15年4月にネット直販を始めたのが先駆けだ。

その後も同社はネット直販の投信の取扱本数を増やし、インデックス型やバランス型など7本を販売。19年2月には中小型の日本株を中心に運用するアクティブ型を新規設定し、ネット直販専用として投入した。谷本達宏資産形成推進部長は「資産形成のためにはアクティブ型も選択肢として必要」と狙いを説明する。

大手運用会社がネット直販に力を入れるのは、販売会社では扱う投信の数が多すぎて、投資初心者がどの投信を選べばいいのかわかりづらいといった事情があるからだ。ネット直販によって自社商品に囲い込めれば、販売手数料ゼロなどコスト面での優位性も強調しやすくなる。さらに、信託報酬を販売会社と分け合う必要がない利点もある。

一方、もともと手数料が低かった上場投資信託(ETF)では、ネット証券が売買手数料の無料化に相次いで踏みきり、投資初心者を取り込もうとしている。

楽天証券は18年6月から順次、国内に上場するETFのおよそ3分の1に相当する84本の売買手数料を無料にしている。株式事業部の土居裕明氏は「ETFは信託報酬も低くて投資初心者に適している。米国でも売買手数料の無料化が進んでいる」と説明する。

同社は約2600本の投信のうち半数超の販売手数料を無料にしており、無料化をETFにも広げた。また、カブドットコム証券が8本の売買手数料を無料にしているほか、マネックス証券が米国上場の27本の売買にかかった手数料を後で現金で顧客に返す形で、実質無料にしている。

投信の販売手数料やETFの売買手数料を無料にすると、運用会社や証券会社などではその分、収入が減る。各社は「現物株式や信用取引などに広がれば、将来の収益拡大が見込める」(楽天証券)と「先行投資」と位置づける。

米国では5月、顧客が運用手数料相当のキャッシュバックを受けられる「マイナス手数料」のETFが承認されるなど、手数料引き下げによる個人投資家の獲得競争が激しさを増している。日本でも同様の動きがさらに広がりそうだ。

(藤井良憲)

[日本経済新聞朝刊2019年6月22日付]