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年金保険料払えない大学生は? 特例申請で支払い猶予

2019/6/29

写真はイメージ=PIXTA

大学生の子どもが20歳になり、国民年金加入の案内が届きました。本人は年金保険料を払わずに「ガクトク」を利用すると言います。どういう制度でしょうか。

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20歳になると国民年金に加入し保険料を払う必要があります。案内が届いたのに何の手続きもしないと保険料は「未納」になり、老後の年金だけでなく、病気やケガで障害を負ったときの年金も受け取れなくなるリスクがあります。ガクトクは学生納付特例制度の略称で厚生労働省も使っています。申請することで保険料の支払いが猶予され、年金の受給権を確保できる仕組みです。

大学や大学院、専門学校などに通う学生を対象にした制度で2000年度に導入されました。今では年間170万人以上が利用しています。本人の前年の所得が118万円以下などの条件はありますが、そもそも収入が少ない学生が対象なので申請すれば多くが決定となります。年齢に決まりはありません。申請先は市区町村の窓口などです。

1枚の申請書で申し込めるのはその年の年度末までなので、大学2年生なら3回は手続きが必要です。6月に20歳になった人は今年度に来年3月までの分を申請し、来年4月から翌年3月までの分は来年度というように手続きをします。

ガクトクは本来払う保険料の猶予であって免除ではないことを知っておきましょう。その期間を年金の受給資格期間に算入できますが、老後にもらう年金額には反映されません。そのままだと将来の年金額は保険料を納付した人より減ってしまいます。「1年で2万円、2年で4万円ほど年間の受取額が少なくなる」と社会保険労務士の中村薫さんは話します。年金額を増やすには、後日申請して保険料を「追納」する必要があります。期限は10年以内です。

過去の期間も2年1カ月前まで遡って申請できます。だからと言って手続きが遅れると万が一の際に障害年金を受け取れないといった不利益を被ることがあります。障害年金は初診日を基準とした年金の加入・保険料納付要件で判断するので、初診日後のガクトクの申請・承認では要件を満たさないと判断されてしまうからです。「案内が届いたら速やかに手続きをすることが肝心」(中村さん)です。

若い人には、老後の年金よりも障害年金などの方が身近かもしれません。近年は精神の障害も対象になります。障害年金の支給額は年約78万円(障害基礎年金2級)。仮に20年間もらい続ければ1500万円以上になります。手続きを怠るとそれだけの金額を失う可能性があるわけです。家計の状況にもよりますが、親が子どもの保険料を立て替える事例はよくあります。制度を知ったうえで親子で話し合い対応を決めましょう。

[日本経済新聞朝刊2019年6月22日付]

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