スイスの独立系高級時計ブランド「オリス」が日本で攻勢を強めている。2018年には日本の現地法人としてオリスジャパンを設立、19年6月22日にアジアで初めてとなる路面店を東京・銀座にオープンするなど、打つ手も矢継ぎ早だ。ウルリッヒ・W・ヘルツォーク会長に新作と日本戦略について聞いた。
――新作の特徴を教えてください。
「現在、海洋プラスチックごみ(廃プラ)が大きな問題となっています。オリスは早くから海洋環境保全に取り組んでいて、2010年に世界最大のサンゴ礁『グレートバリアリーフ』の保護活動を支援するための限定モデルを発売したのを皮切りに、モルディブ、フィリピンのトゥバタハ、中東の紅海など、世界各地の海洋環境保全を支援する特別モデルを毎年のように出しています」
「2019年は2つの特別モデルを用意しました。1つ目がダイバーウオッチ『アクイス』をベースにした『クリーンオーシャン リミテッドエディション』です。海に廃棄されたペットボトルやプラスチック素材を細かく砕き加工したプレートを裏蓋にセットしました。廃プラ回収に取り組むプロジェクト『パシフィック・ガベージ・スクリーニング』と提携、その活動を支援します」
「2本目はグレートバリアリーフシリーズの第3弾。裏蓋にはグレートバリアリーフのサンゴと南十字星をあしらいました。サンゴ礁の再生に取り組む『グレートバリアリーフ・サンゴ礁保護基金』を支援しています」
「時計ブランドとしていい時計をつくるだけでなく、社会に貢献して尊敬してもらえるブランドになる、ということが私たちのミッションのひとつだと考えています」
――2018年、日本法人を設立しました。
「日本は変化の時期を迎えています。日本法人を設けたのは、本社と同じ考え方、同じ精神で日本でビジネスを展開していくためです。地元の市場をきちんと理解した上で、コミュニケーションを密にして、日本法人と連絡を取りながら協力して、ビジネスを進めていこうと思っています。これからどんどんよくなっていくと思いますし、よくしていきます」
――日本法人の1年目の成果は満足のいくものでしたか。
「売り上げが画期的に伸びたわけではありませんが、日本で過去1年間に起こった進歩については、とても満足しています。ブランドとしてきちんと、私たちが発信したかった情報を直接、顧客に届けられるようになっていますし、これからどんどん良くなっていくだろうという兆しが見えているので喜んでいます」
「日本でのことは日本のチームに任せていますが、顧客の皆さんとできるだけ近いところにいたいと思っています。全ての顧客一人ひとりとお話しすることはできませんが、メディアに加えて、最近はデジタルメディアが発達してコミュニケーションツールとして活発に使われていますから、それを通して直接、顧客に情報を発信していきたいと思っていますし、これから大切なことだと考えています」
(聞き手は平片均也)
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