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そのまま飲む小瓶ビール W杯・五輪観戦で広がるか

2019/7/10 日経産業新聞

アサヒビールは小瓶で飲む「ザ・クール」の営業に力を入れる(東京・中央)

ビールを小瓶のまま飲むスタイルが、じわり広がってきた。アサヒビールは飲食店向けの専用商品を投入し、自ら都内でバーを運営。キリンビールも国内でライセンス生産している「ハイネケン」の瓶製品の売れ行きがいい。ビール系市場は縮小が続いているが、街中のバーやパブなどで仲間と酒を酌み交わす若者は多い。飲用スタイルの変化に小瓶がマッチするとみて、営業を強化している。

アサヒビールが4月に売り出した飲食店向けの専用商品「スーパードライ ザ・クール」が好調だ。6月末までの期間限定で東京・表参道に開いたコンセプトショップは、5月中旬までに約1万3000人が訪れた。同社の想定を2割上回って推移した。商品を取り扱う飲食店の数も2000を超えたという。

「ザ・クール」は334ミリリットル入りの小瓶ビールを、グラスに移し替えずにそのまま飲むスタイルを提案している。主なターゲットに据えている20~30代の若年の好みを踏まえ、苦みや渋みを抑えて後味をすっきりさせた。味わう場所もバーやパブを想定し、小瓶にカルピスを入れて飲むビアカクテルも推奨する。

ビール商品でターゲットや飲用シーンをここまで細かく設定するのは珍しい。

キリンビールが国内で製造販売しているオランダ「ハイネケン」銘柄のビールも、小瓶を中心とした瓶商品の販売が1~5月の累計で前年同期比1割増と好調だ。キリンは飲食店向けにマイナス温度まで冷却できる瓶専用クーラーの設置を働きかけており、すでに3000台を納入した。

ハイネケンはラグビーワールドカップ(W杯)の世界パートナー。9月開催の日本大会もにらみ、消費者向けの販売促進を強化している。

国内大手のビール系の課税済み出荷数量は、2018年まで14年連続で前年実績を下回った。19年も市場の縮小が見込まれる。居酒屋や家庭の晩酌で「とりあえずビール」という習慣は薄れ、アサヒの「スーパードライ」をはじめ、各社の主力商品は苦戦を強いられている。

一方、海外ビールでは、世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI、ベルギー)が手がける「コロナ」は、販売数量がいまも年間2桁ペースで伸びているという。グラスに注がず、小瓶のまま飲むビールの代表格で、音楽フェスティバルなどと連携したオシャレな販促で若い世代を引き付ける。

9月のラグビーW杯日本大会や20年夏の東京五輪・パラリンピックで訪日客が増えれば、スポーツを観戦しながら小瓶ビールを味わう人々の光景が増えるのは確か。一過性の流れに終わらせない工夫がビール各社に求められる。

(柏木凌真)

[日経産業新聞 2019年6月21日付]

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