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2020年から見える未来

LGBTも安心な美容室 性差超えた髪形、接客が高評価

2019/7/19 日経MJ

飛田さんをカットするKAHOさん(東京都渋谷区のヘアサロンブリーントウキョウ)

性的少数者(LGBT)でも安心して利用できる美容室が現れている。見た目で性別を判断せず、男らしさや女性らしさを超えてなりたい髪形をかなえる。接客中の会話やトイレにも工夫を凝らす。ジェンダーレスやユニセックスなど、男女の性差の垣根を越えたおしゃれのトレンドが髪形でも広がっていることが後押ししているようだ。

「今日はボーイっぽい中性でいこう」。6月中旬、東京・原宿のビル2階にある美容室「ブリーントウキョウ」。スタイリストのKAHOさん(23)が鏡の前に腰掛けた飛田実穂さん(23)から髪形に関する要望を聞き取り、声をかけていた。肩から下げたはさみの収納ケースには、虹色リボンのバッジが光る。LGBTに対する理解や賛同を示している。KAHOさんも飛田さんもLGBTの当事者だ。

はさみの収納ケースにはLGBTへの理解を示す虹色のバッジも

KAHOさんは「同性愛者であることに悩んでいたけど、今は自分の強み」と力を込める。得意とするのは男女という概念にとらわれない髪形。たとえば、頭頂部から耳の上までは長く残し、耳から下は刈り上げる「ツーブロック」。本来は男性向けの髪形だが、丸みを帯びたショートカットやゆるやかなパーマと自在に組み合わせる。

当事者ならではの微妙な感覚を取り入れた髪形をインスタグラムで発信すると、徐々に指名が増えていった。「肌感覚では指名客の8割が当事者。なりたいイメージを率直に伝えられず悩む人が多かったのでは」と受け止める。自分で髪を切っていたと打ち明ける人もいるという。

飛田さんもその一人で、美容室へ行くとかわいらしい髪形にされることに抵抗を感じていた。鏡の前に並ぶ女性誌や「彼氏はいるんですか」という会話に黙り込んでしまうこともあった。ただKAHOさんと出会いそれが変わった。「『女の子らしい』も『男っぽい』も好きじゃなかった。どちらでもない自分が受け入れられている」と話す。

性的少数者を支援したり配慮したりする取り組みを「LGBTフレンドリー」と呼ぶ。五輪憲章に性的指向による差別の禁止が2014年に盛り込まれたことを契機に、日本でも広がり始めた。20年の東京五輪・パラリンピック開催国として対応は欠かせない。こうした姿勢を打ち出す企業が日本でも増えてきた。

ブリーントウキョウが掲げるのは「ジェンダーレスなサロン」。LGBTへの配慮を強く打ち出しているわけではない。運営するグランネス(東京・渋谷)の橋本幸生社長は「結果的にはLGBTのお客さんの共感を得ている」と話す。

一端が顧客情報を管理するシステムから見てとれる。客が個人情報を書くカルテには男女の性別欄はないが、システムでは男女の区別が必要になる。当事者とみられる客が目立つようになり、接客したスタッフが感じた心の性別に応じて入力するようすると、昨年は女性比率が48%だったが今年は38%に変わった。

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