「出世して取締役」の勘違い おかしな日本の企業統治カルビー元会長 松本晃氏

カルビーのトップになるとき、松本晃氏が考えたのは企業統治の体制整備だった
カルビーのトップになるとき、松本晃氏が考えたのは企業統治の体制整備だった

プロ経営者の松本晃氏がカルビーに招かれてトップに就くと決めたとき、最も重視したのは経営の執行役と監視役の分離でした。経営陣と取締役会が互いに独立し、それぞれの役割をきちんと果たすというコーポレートガバナンス(企業統治)の概念は、資本主義経済ではごく当たり前の発想です。ところが、松本氏は「日本では、全然当たり前ではない」と指摘します。日本企業への企業統治の導入について聞きました。

<<(6)女性管理職の比率4倍に 活躍の道、トップが力ずくで
(8)改革はトップの覚悟から 抵抗勢力も「納得」で変わる >>

招いてくれた人への最初の言葉 「辞めてください」

2018年に亡くなったカルビー元社長の松尾雅彦氏は創業者の三男で、カルビー中興の祖といわれた人物でした。社長を辞めた後も会長や相談役として大変貢献した。僕はその雅彦氏に引っ張られてカルビーに入ったんです。

カルビーの創業家出身で社長や会長を務めた松尾雅彦氏。2018年に亡くなった

経営を受け継ぐとき、僕が雅彦氏に言った最初の言葉が「(取締役を)辞めてください」でした。長男、二男のお二方にも、経営から身を引くようお願いしました。3人とも会社に多大な貢献をされた方たちでした。しかし、そういう人がいる限り、社員は命令を待つばかりで何も考えないし、何もしない。それでは会社は変わらない。会社を変えるには、松尾家の全員に退いてもらうのが一番と考え、そう説明しました。

すると雅彦氏は「よしわかった」と……。経営から退く、退かないで創業家と会社がもめるのは、よくあることです。あっさりと身を引く決断をした松尾家の人たちは本当に偉かった。

もちろん、「僕に任せてくれたらいいことありますから」というようなことも言いました。その後、東証1部上場も果たしたし、会社ももうかった。配当も増えた。松尾家にとっても、よかったのではないかと思っています。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧