1日に数十万人の乗降客が行きかう東京駅は、都内に数百あるほかの駅とは異なった特徴を持つ。駅弁を買いたくなるのだ。なにしろ、地方への大動脈である新幹線がひっきりなしに発着するのだから駅弁を手にせずにはいられない。それも、世の肉ブームに呼応してか、がっつり肉弁当に人気が集まる。JR東日本グループが運営する東京駅の駅ナカ3施設、グランスタ、エキュート東京、エキュート京葉ストリートの肉弁当売り上げトップ3を販売施設別に紹介する。
グランスタ
第1位 「スペイン産ベジョータ イベリコ豚重」(税込み1100円) 販売店:イーション
お化け駅弁である。グランスタが公表する弁当の売り上げランキングで、2007年の開業時から最新ランキング(18年冬)まで、1位を誇る。スペイン産ブランド豚イベリコ豚の中でも全体の数パーセントしかないという最高ランクの肉「ベジョータ」をふんだんに使用。良質で甘みのある脂身を生かした駅弁で、多いときには1日約1300個を販売。今回の調査で3施設を合わせたすべての売り上げランキングでもトップに立った。
グランスタでの人気弁当は「少し豪華でテンションが上がり、何の弁当か分かりやすいもの」(グランスタ)と言い、その傾向にピタリとはまる。「発売当初は様々なおかずとご飯を詰め合わせた弁当が主流だったので、万人受けはしないのではないかと思った」(同)と言うが、予想を大きく覆し名物弁当となった。店内厨房があり、出来たてはさらにおいしいそうで、特に夕方に並ぶ数が多いので狙い目だという。

第2位 「牛肉弁当」(税込み1295円) 販売店:浅草今半
すきやきで知られる「浅草今半」のロングヒット商品。まさに箱に入ったすきやきだ。秘伝の割り下を使いながら弁当として食べやすいよう、すきやきより甘じょっぱさを抑え優しい味付けに。使用するのはモモ肉を中心とした黒毛和牛だが甘みの強いバラ肉も混ぜ、味わいのバランスも考える。
店内厨房があり「出来たてを提供するために、少量ずつしか並べない」(グランスタ)のも人気を支える。各具材はそれぞれの味が引き立つよう、別々に調理。関東と関西ではすきやきの作り方が異なり味わいが違うので、弁当のファンには新幹線で関西に帰るビジネスパーソンも多いそうだ。

第3位 「厚切り芯たん弁当(塩味)」(税込み1680円) 販売店:伊達の牛たん本舗
仙台の牛たん専門店「伊達の牛たん本舗」の駅弁で、グランスタ限定商品。厚切りタンがたっぷりご飯とは別皿に盛られている。使用するのは、牛タンの中でも特に軟らかい部分で、同社ではこれを「芯たん」と呼ぶ。牛タンは根元が一番軟らかいが、「芯たん」はそこから約10~15センチの部分で、サガリと呼ばれる硬い舌の裏側を除いた肉のことだ。
塩ベースの調味液に寝かせ味付した牛タンは、その独特の食感と共にジューシーさを味わえるよう厚めに切り店内厨房で焼く。添えられているのは、宮城名物のしそ巻や、牛タン定食に付きものの青トウガラシの南蛮味噌漬け、牛タンのつくだ煮だ。特に幅広い世代の男性客に人気だが、女性ファンも多いという。