不動産の相談 なぜ顧客と業者の話はかみ合わないのか不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA
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「老後資金は約2000万円必要」とする金融庁の報告書が大きな話題となっています。年金問題だけでなく、人工知能(AI)などの進化による働き方の変化、経済環境や資産価格の変動リスクの不透明感など、将来に対する不確実性が増していることと無関係ではないのでしょう。不動産の保有や運用についても、これまで以上に慎重に判断しようとする人が多くなっています。しかし、相談する消費者側と受ける企業側とで話がかみ合わないケースが散見されるようになっています。

従来は相談前に方針が決まっていた

これまでは、買う・売る・借りる・貸す・建てることについて、方針がある程度固まっていて、それぞれの方針について具体的にどのように進めていくべきかの相談を不動産会社に持ち込むのが一般的でした。

例えば、住まいを売るのであれば、売買を仲介する不動産会社に相談に行き、いくらで売れそうか、どうやって売ればよいかなどを相談していました。

空き家や空室を貸したいならば、賃貸を仲介する不動産会社に相談すればよかったですし、遊休地に賃貸アパートを建てたいならば、建築会社に相談すればよかったわけです。

「方針をどうすればよいか」の相談増える

ところが最近は、住まいであれば、買うか、借りるか、現状にとどまるべきかといった方針そのものについて「どうしたらよいか」という相談が増えています。

空き家や賃貸物件だったら、売るべきか、貸すべきか、あるいはこのままにしておくかといった相談です。仮に売ったとして、そのお金は何で運用すべきなのか、別の何かに投資するとしても現状と比べて期待リータンとリスクはどう異なるのか、自分の子供や孫が承継する時期までの時間軸で考えたとき、何を選択すべきなのかといったところまで議論が深まることもあります。

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