「老後資金2000万円」なんて無理… ならどうする?『まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方』著者 深田晶恵氏に聞く

安心・安全にお金を増やす手段は存在せず

長引く超低金利により、貯蓄で資産を増やせないことも現役世代の「ためづらさ」の要因の一つだ。「今70代以上の世代が働き盛りだった頃は、10年に1度程度のサイクルで長期金利が6~8%の高水準になることもあり、預貯金だけで資産を増やすことができた」(深田氏)

しかし超低金利の今は安全確実にお金を増やす手段は存在せず、増やそうとすればリスクをとって投資するしかない。だが、「仕事や子育てに追われる働きざかり世代は、資産形成の勉強をしたり、経験を積んだりする時間も、資金的な余裕もないのが実情だ」。

「ためづらい環境」にあっても、子どもの教育費や住宅費を捻出し、さらに10年後に迫ったリタイア後への備えにも着手しなくてはならない50代。まだ老後資金づくりに着手できていない人は、何から始めるべきなのだろうか。

深田氏は「まずは『このままではまずい』という危機感を持つこと。その上で、定年前後に起きるお金と暮らしの変化について知ることから始めてほしい」とアドバイスする。

「例えば60歳で定年退職したのち再雇用で働き、65歳で年金暮らしになると想定すると、60歳以降、ある月から収入が急激にダウンする『収入ダウンの崖』が2回やってくる。こうした変化が起きることを前提に、50代でまだ現役の現在、定年後再雇用で働く60代前半、そして年金生活に入る60代後半にどんな暮らしを心掛けるべきかを理解して、対策を考えておくことが、老後への備えの第一歩になる」

50代、60代前半、60代後半にすべきことを知る

50代で高水準の給料を得ているうちは、まさに「ためどき」。現在の家計を見直して無駄な出費を削り、貯蓄を少しでも多く積み上げていくことが重要だ。iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(少額投資非課税制度)といった、資産形成に有利な優遇制度を活用して効率的に資産を増やすのも有効だろう(なお、子供の大学進学や独立が60歳以降となり50代に「ためどき」をつくれない場合は、60代以降もフルタイムで働く、専業主婦の妻がパートに出るなど、世帯収入を増やす対策を打ち、60代に「ためどき」をつくる手もある)。

60代前半は再雇用で働くとすると、現役世代よりかなり収入が減る可能性が高い。この時期に大事なのは赤字に転落しないこと。「再雇用で減った収入でも収支トントンの暮らしができるよう、家計をダウンサイズする必要がある」。60代前半から貯蓄を取り崩し始めると、70代の早い時期で貯蓄が底を突くことになりかねないからだ。

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