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平成生まれのMD 再生機は生産終了間近、部品も…

「年の差30」最新AV機器探訪

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NIKKEI STYLE

カセットテープに代わる録音媒体として、1992年に発売されたMD(ミニディスク)。持ち運びのしやすさや使い勝手の良さから、レンタルCDショップブームとともに一時代を築いたが、iPodの流行とともにその姿を見かける機会は少なくなった。

そんな中、現在もMD再生機器を生産し続けるのがティアックだ。しかし、その生産もあと数年で終わる可能性があるという。

ティアックはなぜ、現在もMD再生機器を生産し続けるのか。平成生まれのライターと昭和世代のオーディオビジュアル評論家が取材し、MDの存在を改めて振り返ってみた。

92年生まれのMD。30歳を迎えられるか

小沼理(27歳のライター。以下、小沼) この連載でカセットテープの取材をした時、昭和世代がカセットテープに感じるノスタルジーを平成世代はMDに感じているのではないか、という話が出ました(記事「若い世代も親近感 最新ラジカセを聞いてみた」参照)。そこで今回はMDを取り上げようと思います。

小原由夫(55歳のオーディオ・ビジュアル評論家。以下、小原) 若い小沼さんが「懐かしい」方向に行くのは珍しいですね。まさか令和になってMDの取材をするとは思わなかったなあ(笑)。

小沼 今回訪ねたのは、現在もMDデッキを生産しているティアックです。企画・販売促進課課長の加藤丈和さん、よろしくお願いします。

加藤丈和氏(以下、加藤) よろしくお願いします。ちなみにMDが製品化されたのは1992年なんですが、小沼さんは何年生まれですか。

小沼 おお、92年生まれなら僕と同い年ですね。

小原 へえ、小沼さんと同い年なのか。じゃあ、今年でMDも27歳ということですか。

加藤 はい。ただ30周年を迎えることができるかどうか……。

小沼 なんと、そんな状況なんですね。MD自体はまだネットなどで購入することもできるようですが、再生するデッキの生産が続くかどうか、分からないということでしょうか。

加藤 現在、MDの再生機器を生産しているのはティアックだけ。家庭用では「MD-70CD」というデッキが唯一の機種です。ただ、MDを再生する部品となるMDドライブはもう生産されていません。現在は自社の在庫がありますが、それがなくなればもう終わりです。おそらく、持ってあと2~3年というところではないでしょうか。

小沼 もうすぐじゃないですか! そう聞くとなんだか寂しいですね……。

ティアックが今もMDデッキを作り続ける理由

小原 そもそも、他社が撤退した今でもMDデッキを作り続けているのはどうしてなんでしょう。

加藤 それはもう、往年のオーディオファンのためということに尽きますね。ティアックはフロッピーディスクのドライブも最後まで作っていましたし、記録メディアはできる限り作り続けることを社命としているんです。

小沼 意義深いけど、大変そうですね。どういった方が買うんですか。

加藤 新規に購入する方は少なく、買い替えの需要がほとんどです。やっぱり皆さん、レンタルCDからダビングして作ったマイベストが手元にあって、それをいまだに聴いていたりする。そのMD自体に思い入れを持っていて、聴き続けたいという声があります。

小沼 同じ曲順のプレイリストを作ってiPhoneで再生しても、それはまた違う体験ですもんね。MDで聴きたい気持ちもわかります。

小原 カセットのようにMDは再流行しなかったのかなぁ? 小沼さんの世代に直接「刺さる」のなら、はやっていてもいいと思うのですが。

小沼 たしかに僕らの世代はMDに思い入れがあるし、まだ実家などに残っている人も多いと思います。ただ、再生機器を持っている人があまりに少ないのかもしれません。このMD-70CDもちょっと大きいですしね……。もう少し小型のものが生産されれば、可能性はあるかもしれないのですが。

加藤 MD-70CDはMDだけでなくCDも再生できるので幅435mmというフルコンポサイズになっています。MDだけを再生できるプレーヤーを求める声もあるのですが、部品の在庫に限りがあることなどを考えるとなかなか難しいですね。あと「MD-70CD」は実は業務用の「MD-CD1」をベースに作っているんです。今でも葬儀場などでは「葬儀で故人のMDをかけてほしい」とリクエストされる場面がありますから。家庭用だけで作り続けるのは難しいけれど、業務用と兼ねることで続けられているんです。

小原 業務用だから、MD単体でなくて、CDなども再生できる複合デッキが求められる。そんな事情もあったんですね。

覇権を争ったMD対DCC競争

小沼 そもそも、MDってどんなメディアだったんでしょう? 自分も使っていましたが、その歴史は知らないです。

小原 じゃあちょっと説明しましょう。MDが92年にはじめて製品化されたのは、先ほどもあった通り。カセットに代わる次世代の録音メディアとして、ソニーが開発しました。当時は松下電器産業(現パナソニック)がオランダのフィリップスと共同開発したDCC(デジタル・コンパクト・カセット)というメディアも同時期に発表しており、どちらが覇権を握るか注目されていました。

小沼 DCCは聞いたことないですね。どんなメディアなんですか。

小原 DCCはカセットテープとほぼ同じ形のメディアにデジタル音源を磁気録音するもの。カセットとの互換性が高く、DCCデッキはカセットテープが再生できました。一方、MDはご存じの通りランダムアクセスで、テープよりも頭出しや追加録音が容易。シャッフル再生や曲順の入れ替えもできました。結果的にはその使い勝手の良さが評価され、MDが普及していったんです。

小沼 Apple MusicとSpotify、AWAなどが争っているのと近いものを感じますね。どの時代も多くのユーザーを獲得することが何より重要なんだなあ。小原さんは、MDの登場時、もうAV評論家だったんですか?

小原 そうです。だから雑誌等ではDCCとMDの比較もやりましたよ。圧縮音源ということで、僕はMDには最初はあまり良い印象はありませんでした。その中で音をどう良くしていくかを各社が努力して、次第に高音質のプレーヤーが作られていったんです。ソニーの「MDS-JA50ES」(1996年発売当時、税別18万円)というデッキは特に良い音でしたよ。うちの倉庫を探せばまだあるんじゃないかな。

加藤 あと、MDは車の中で聴いていた印象があります。

小原 90年代のカーオーディオには必ずMD用のドライブがついていましたよね。僕もマイカーにソニーのMDを乗せていましたから。

録音媒体として地位を築くも

加藤 それだけ一世を風靡したMDですが、2000年代に入ると、MDの何十倍もの楽曲を記録できて、パソコンさえあれば扱いも簡単なiPodをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーに取って代わられることになります。

小沼 僕もMDを使っていたのは高校1年生くらいまでです。iPodのほうが便利だし、新しくて格好いいしで、乗り換えてしまいましたね。正直、ここ数年、カセットテープは何本か買いましたが、MDを触ったことはありませんでした。

小原 今、カセットテープは録音するためではなく、CDやアナログレコードと同じ音楽タイトルとして人気じゃないですか。実はMDも登場した当時は音楽タイトルも発売していたんです。

小沼 え、そうなんですか。全然知りませんでした。MDはレンタルしたCDをダビングして聴く録音媒体という印象が強いんですが。

小原 ソニーがMDを売り出した時の広告には、確かマライア・キャリーが使われていて、彼女のアルバムが収録されたミュージックMDも発売されていたはずです。他にもいろいろ発売されていたんですよ。

小沼 ミュージックMDがたくさん発売され続けていれば、カセットテープのように人気が再燃する可能性もあったのかもしれませんね。

加藤 もう一つはマーケットでしょう。MDのマーケットは日本が中心で、あとはヨーロッパの一部で使われていた程度でした。これがカセットテープのように世界的に流通していれば、事情はまた違っていたのかなとも思います。

◇ ◇ ◇

日常的に見かけることはなくなったMDだが、今でも使い続ける根強いユーザーのために、ティアックは今でもMDプレーヤーを生産し続けている。しかし、それができるのもあと数年。長く使っていなかった自分が言える立場ではないかもしれないが、近い将来再生できなくなってしまうということに寂しさを覚えた。

しばらく聞いていないが、MDの音はどんなものなのか。次回「最後の再生機でMD試聴 平成生まれが感じた懐かしさ」では以前、記事「音作りにこだわり 最新カセットテープを聴いてみた」でカセットテープを再生した小原さんのリスニングルームに、ティアックのMD-70CDを持ち込んで、令和の今、MDの実力を再確認してみる。

小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。最初に購入した携帯音楽プレーヤーはソニーの「ウォークマンII(WM-2)」。
小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。最初に購入した携帯音楽プレーヤーはシャープの「MD-ST700」。

(文 小沼理=かみゆ)

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