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部下の側からこまめに報告することで管理職の不安は減るかもしれない。写真はイメージ=PIXTA

部下の側からこまめに報告することで管理職の不安は減るかもしれない。写真はイメージ=PIXTA

面倒な上司は部下の意欲をそぐ。しかし、部下には選ぶ権利がない。どこの職場にもある、うっとうしい問題だが、『ダメ上司のトリセツ』(さくら舎)を書いた関下昌代氏は「たまたま巡り会ったダメ上司につぶされたら、損するのは自分。したたかに賢くあしらうほうが得」と説く。つきあいにくい上司の操り方を教わった。

「褒める」「教える」「歩み寄る」

上司と向き合うにあたって、部下の側は上司をハンドリングするような感覚で臨むと、こなれた間柄を保ちやすくなるという。おだてたり持ち上げたりするのとは違って、あざといおべっか使いではない。無用に孤立させず、立場の維持を助ける。上司を不機嫌にさせないだけでも、チームの空気はよくなる。「上司に機嫌よく仕事をしてもらえれば、部下も気持ちよく働ける。ご機嫌を取るのではなく、心配やストレスを軽くしてあげる工夫が肝心」と、関下氏はアドバイスする。

具体的には「褒める」「教える」「歩み寄る」といった行為が上司との距離を縮め、安心感を引き出す。上司はいろいろな意味で情報不足を気にしている。そこに助け舟を出してやるのだ。逆に、同じエレベーターに乗っているのに、ずっとスマートフォンをいじっている部下には、上司はいらだちを覚えやすいという。「お客様気分で『待ち』の態度を決め込んでいる部下はチャンスを逃してしまう。用事がなくても、自分から声を掛けるほうが上司に覚えてもらいやすくなる」と、関下氏は守りの姿勢を戒める。

今のオフィスは昭和に比べて、ずっと静かだ。電子メールが社内連絡の主役になったせいもあって、職場で耳から入る情報が格段に減った。かつては部長も自席で耳を澄ませていれば、部内の状況が大まかにつかめたかもしれないが、今は報告をもらわないと、チームの動きがわかりにくい。「上司は情報過疎を恐れている。『A社の件で困っています』『B業界にお知り合いはいませんか』など、こまめに相談すれば、上司は喜ぶ。『報告』の手前段階で声を掛けるのがコツ」という。

関下氏が新人研修を担当していたころ、入社から半年程度で辞めてしまう、有望な新人たちは「上司と合わなくて」と理由を述べることが多かったという。彼らを退社に追い込んだ上司たちに腹を立てる半面、「部下の側にも柔軟性やずる賢さが足りなかったのかも」と感じた。「アンフェアだと不平を述べる部下がいるが、会社での扱いは平等主義ではない。選んでもらう立場なのだから、お客様気分は勘違い」と、関下氏は部下側にも注文を付ける。

「上司との接し方は異文化コミュニケーションだ」と、関下氏は考える。つまり、上司と部下ではカルチャーが異なるのだ。どこが違うかというと、たとえば上司はチームを使って手柄を立てて、さらに上のポストに出世したいと考える気持ちが強い。もちろん、チーム意識が高く、面倒見のよい上司も少なくないが、「上昇志向の強い上司に出会った場合、応じ方を心得ていないと、強いカルチャーショックを受けてしまい、部下の側が傷つくことがあり得る」(関下氏)

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