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人は年間何万ものプラスチック片を摂取 ボトル水にも

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/7/1

米ジョンズ・ホプキンス大学の研究者は、マイクロプラスチックが混入した魚介類を食べることの影響を調べた。その結果、蓄積したプラスチックが免疫システムに悪影響を及ぼし、内臓のバランスを乱す可能性があることを明らかにした。

科学者は、マイクロプラスチックが健康に悪影響を及ぼす量がどのくらいかなのかを研究している最中だとコックス氏は言う。マイクロプラスチックへの耐性も人によって違うだろう。大気汚染がひどい地域や、有害物質を含んだ建築資材を使った住宅に暮らすような人は、影響が大きいかもしれない。

ただ、今回のコックス氏の研究に対しては批判もある。「たくさんの変数が関わる複雑な問題を、単純化しすぎている」。こう話すのは、カナダ、サイモンフレーザー大学の生態毒性学者レア・ベンデル氏だ。それでも「人がマイクロプラスチックを大量に摂取しているという、コックス氏らの結論は正しいです」と同氏は付け加える。

ベンデル氏は、「マイクロプラスチックは、破片、ペレット、ビーズ、繊維、フィルムなど、様々な形態をしていることに着目すべきだ」とも指摘する。というのも、マイクロプラスチックはひとくくりにできる代物ではなく、何百もの異なる化学添加剤を含んだ材料でできているからだ。生成過程が違えば、当然「さまざまな特性」を持つマイクロプラスチックがあって当然だ、と同氏は説明する。有毒な化学物質を含むもの、あるいは細菌や寄生虫が活動するのに適した環境となるマイクロプラスチックもあるだろう。

■プラスチックを含まない食品は?

マイクロプラスチックを摂取した魚介類を食べる、空気中に浮遊するマイクロプラスチックを吸い込む、プラスチック包装された食品に付着したマイクロプラスチックを摂取する――人がマイクロプラスチックを摂取する経路は1つではない。

こう考えると、マイクロプラスチックを完全に防ぐことは「不可能ではないが、非常に難しい」(コックス氏)。ボトル入りの水をやめて水道水を飲む、といったように生活のスタイルを変えれば、「マイクロプラスチックの摂取量は減らせる」と同氏。

ところで、今回の研究チームが調査した論文に示されたなかで、一番身の回りに多いと考えられるマイクロプラスチックが微小な繊維だ。ナイロンやポリエステルなどの生地から抜け落ちたもので、洗濯時に衣服から抜け落ち、やがて排水を通して生態系に流れ込む。

2番目に多かったのが、ストローなどに広く使用される、いわゆるプラスチックの破片だ。

「今回の研究で、プラスチック汚染が海洋生物以外にも広がっていることに注目されることを願っている」とコックス氏は語る。「プラスチック汚染の影響を、人も既に受けているなど考えてもいませんでした」と同氏。「でも、すでに影響は出ているととらえるべきでしょう」

(文 SARAH GIBBENS、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年6月8日付]

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