クラウドファンデイングで変わる寄付 若年層に期待

同協会の清水潤子氏は「シニア層は、どの組織に寄付するかを気にするが、若い世代は自分の関心に近い案件に寄付したいと考える傾向がある」と分析します。ネットで様々な団体の取り組みを調べられる寄付型CFは「若い世代にとって使いやすい」というわけです。

英米など諸外国に比べると日本では個人の寄付が少ないと指摘されます。寄付型CFは従来の寄付のイメージを変え、全体を押し上げる可能性があります。

市川拓也・大和総研経済調査部副部長「シニア層の意識変われば普及も」

クラウドファンディングは日本に根付くのでしょうか。「シェアリングエコノミー」の視点から、CFに注目する大和総研経済調査部の市川拓也副部長にCFの現状と課題を聞きました。

――CFに注目したきっかけは。

市川拓也・大和総研経済調査部副部長

「地方創生を主な研究テーマにしていたとき農業やエネルギー、観光に加え、CFに目を向けました。多くの自治体や地方企業はCFを活用し、人を呼び込むイベントやプロジェクト、起業を促す環境づくりといった地方創生のための資金を全国から集めています。例えばJR東日本とCFサイトを運営するCAMPFIREは『地域にチカラを!プロジェクト』を共同で立ち上げ、地域商品開発と無人駅の活用の2つのテーマで、地域の魅力を再発見するプロジェクトを支援しています。日本酒製造のプロジェクトなどが資金集めに成功しています」

「最近はシェアリングエコノミーについて研究していますが、その関連でもCFに関心を持っています。ヒト、モノ、スペース、スキル、カネといった要素を共有するのがシェアリングエコノミーであり、CFはカネのシェアリングを進める方法とみることができます。物事の無駄をなくして経済の効率を上げ、課題を解決していくシェアリングエコノミーにCFはぴったり合います」

――日本のCFの現状は。

「CFには寄付型のほか、購入者から前払いで集めた代金を元手に製品を開発して購入者に完成品を提供する『購入型』、投資家が契約を結んだ事業者に出資などをする『投資型』、投資家から集めた資金を事業者に貸し出す『貸し付け型』などがあります。矢野経済研究所の調査では、2017年度の国内のCFの市場規模は前年度比127.5%増の1700億円でした。このうち貸し付け型が90.2%と圧倒的に多く、購入型が5.9%、投資型にあたるファンド型と株式型がそれぞれ3.0%、0.5%です。寄付型は0.4%にとどまっています」

「寄付型や購入型には、支援する側の個人の思いが相手に伝わりやすい良さがあります。地方創生に最も向いているのは購入型で、寄付型との組み合わせもあります。一方、貸し付け型や投資型は、全体に占める割合は高いですが、シェアリングエコノミーの視点からみると、異質といえます」

――CFへの注目度には世代によって差があるとの指摘もあります。

「30~40代くらいまでの世代ではシェアリングエコノミーやCFに理解を示す人が多いです。しかしその上の世代になると、シェアリングをしたらモノが売れなくなると批判する人がなお多く、CFにもあまりなじみがありません。こうした人々の意識が変われば、CFはさらに普及するのではないでしょうか」

(編集委員 前田裕之)

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