「アテンション」から「わた定」へ 女性ドラマ50年

昭和が終わり、時代は平成に入る。バブルの熱狂は沈静化する中、お茶の間の共感を集めたのが、「東京ラブストーリー」(1991年)である。この頃になると、主人公の女性は普通に男性社員らと同じ業務をこなしていた。総合職である。男女が同じ業務をこなすことが自然体となっており、男女の目線の高さが同じラブストーリーとなっていた。

この時期のバブル崩壊の影響はドラマに及び、働く女性の姿にも変化が見られた。就職氷河期という言葉が使われ出したころに放送された「夢見る頃を過ぎても」(1994年)は、パワハラやセクハラ、圧迫面接に苦しみながらも、就職の理想と現実の間で揺れ動く大学生たちを描いた青春群像劇だった。数年前まで、早々に内定の数を自慢し合っていたバブル時代の学生たちとは隔世の感があった。

東京から地方へと「東京中心主義」のドラマに一石を投じた作品もあった。「夏子の酒」(1994年)である。東京の広告代理店に勤めるヒロインが、病で倒れた兄の遺志をついで、実家の造り酒屋のある新潟県で日本一の酒を造るべく奮闘する話だ。このドラマがお茶の間に伝えたのは、「東京ではなく、地方。酒造メーカーではなく、造り酒屋」という価値観の転換だった。それは、バブル崩壊から学んだ答えの一つともいえる。生き方や幸せ、そして女性の働き方は多様であると。90年代の女性の働くドラマの特徴は、自分らしくなれる仕事、天職との出会いだった。

一風変わった女性の働くドラマといえば。「ショムニ」(1998年)だ。地下の倉庫跡にある部署で働くOLたちの業務は、蛍光灯やトイレットペーパーの交換など社内の裏方。それまで日陰とされてきた庶務の仕事に光を当てた点で、画期的な作品だった。男女雇用機会均等法の施行から十余年、かつてOLたちが担わされた庶務の仕事を笑える余裕ができたということでもあった。

2000年代中盤は、「アラサー」や「ハケン」がキーワードとなった(C)TBS

■医者、刑事にも女性が進出

1999年は、それまで男性の主戦場とされてきた刑事・医療の2大分野へ女性が本格的に進出した。

ヒロインが活躍する医療ドラマというと、これまで看護師(ナース)が描かれることが多かった。救命チームの活躍を描いた「救命病棟24時」の放送以降は、女医の活躍が定番になったことからも、このドラマが果たした役割は大きかった。

「科捜研の女」(1999年)では、従来の女性刑事のドラマとは違い、日常生活はガサツで女性らしさに欠けるなど、極めて人間的に描かれた。刑事ドラマにおける女性の役の可能性を広げ、女性刑事が主人公のドラマが増えるきっかけとなった。

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