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「アテンション」から「わた定」へ 女性ドラマ50年

2019/6/26

ドラマの中には、社会が求める理想のヒロイン像が描かれる (C)TBS SPARKLE /TBS (C) 2018 朱野帰子/新潮社

お金を払って見る映画が、作家性や娯楽性を第一に掲げるのに対し、ドラマは、世相や共感できるリアリティなどで、お茶の間と何かしらがつながっている。特に思い入れのない大多数の視聴者をテレビへ引き寄せる。

例えば、4月からTBS系で放映された吉高由里子さん主演のドラマ「わたし、定時で帰ります。」もタイトルからして、今の世相を反映している。サービス残業や過労死が問題となり、働き方改革が唱えられる時代だからこそ、旧来の慣習にとらわれない、マイペースなヒロインが求められるのだろう。

女性を取り巻く仕事や結婚観、社会が時代によって、どのように変化してきたのだろうか。働く女性を描いたドラマの歴史をひもときながら考えたいと思う。なお、職業の表記は作品を尊重して当時の言い回しを踏襲しているので、あらかじめご了承のほどを。

■女性の働くドラマの扉を開いた

1970年、日本中が大阪万博に沸き返る中、女性のお仕事ドラマ史にさんぜんと輝く1本のドラマが登場する。「アテンションプリーズ」だ。地方出身の落ちこぼれのヒロインが国際線のスチュワーデスに成長するまでを描いた物語だ。スチュワーデスの実態が克明に描かれ、なりたい職業ランキングの女子の部門で、堂々の1位になるなど、憧れの職業として認知された。女性が希望の職種に就けず、夢の職業に思いをはせる。ドラマは、そんな時代背景を投影したのである。

専門職に就かない女性たちの多くは、会社に就職してOLと呼ばれた。ちなみにOLなる単語は、1963年に週刊誌女性自身が「新しい時代の働く女性」の呼び名として一般公募し、読者投票の結果、生まれたもの。女性たちの多くは、能力があっても、男性社員の補助的な業務に従事させられ、お茶くみやお使いなどの雑務を当てられることが多かった。結婚を機に寿退職するのが通例で、20代半ばに差し掛かると、「結婚適齢期」と呼ばれ、目には見えない重圧をかけられた。そんな世間の風潮に異議を唱えたのが「想い出づくり。」(1981年)である。

結婚適齢期の揺れ動く3人の女性が、心情を吐露し合いながら、周囲の大人が敷いたレールに、小さな反乱を仕掛けるという筋立てだった。

結婚適齢期を描いた(C)TBS

■恋より夢を優先

1985年、男女雇用機会均等法が制定されると、新しい時代にふさわしいドラマとして「男女7人夏物語」(1986年)が登場した。都会で働く結婚適齢期を過ぎた男女7人の織り成す物語の中で、特筆すべきは、女性たちが自立していたことだった。恋よりもノンフィクションライターの夢を追い続ける彼女に、「行って来い。待っててやる」と、アメリカ行きを後押しする主演の明石家さんまのセリフは、この時代の一番の変化を映しだしていた。

トレンディドラマ全盛期の1988年、浅野温子と浅野ゆう子が共演した「抱きしめたい!」では、弁当箱のような携帯電話を使いこなしたり、仕事でアシスタントを振り回したり、彼女の住むマンションが屋上にジャグジーのあるデザイナーズ物件だったりと、一連の描写は仕事のできる、自立した女性の姿だった。男抜きで仕事と友情に生きる、新時代の女性たちを描いていた。

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