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進化する大谷・サニブラウン 日本の指導者進歩した? ドーム社長 安田秀一

2019/7/3

日本選手権の100メートル決勝で、10秒02をマークして優勝したサニブラウン・ハキーム(左端)=共同

陸上短距離のサニブラウン・ハキーム選手やバスケットボールの八村塁選手の活躍が米国でも話題になっています。「二刀流」のMLB、大谷翔平選手は打撃で好調をアピールしています。日本から世界トップクラスの選手が次々に登場しているのはなぜでしょうか。米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏は大学アメリカンフットボールの現場に復帰した際、アスリートを取り巻く環境の変化を実感したと語ります。

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NBAドラフト会議で1巡目指名を受けた八村塁選手(6月20日、ニューヨーク)=AP

米フロリダ大に留学した陸上短距離のサニブラウン・ハキーム選手(20)が男子100メートルで9秒97の日本新記録を樹立しました。6月末の日本選手権では100メートル、200メートルの2冠を達成しました。バスケットボールでも米ゴンザガ大の八村塁選手(21)がNBAのドラフトで1巡目指名される快挙をなし遂げるなど国際結婚したカップルから生まれた「ミックスアスリート」(ハーフ、ダブルという表現もありますがここではミックスと呼ばせていただきます)が大活躍しています。でも、すごいのは彼らだけではないのです。

MLBエンゼルスの大谷翔平選手(24)、時速163キロを記録した岩手・大船渡高校の佐々木朗希投手(17)、バスケットではNBA入りに挑戦する馬場雄大選手(23、アルバルク東京)もBリーグの日本選手では突出したプレーをしています。ミックスというDNA的な背景がなくても、従来の日本人の常識を超えるような規格外の若者たちは続々と登場しています。

彼らとかつての日本のアスリートの違いはどこにあるのでしょうか。

■体格、練習方法が変わる

僕は3年前、母校である法政大学アメリカンフットボール部の監督に就任しました。卒業以来24年ぶりにアメフトの現場に復帰して驚いたのがケガの多さでした。脳振盪(しんとう)と前十字靱帯の断裂が特に目立ちました。その理由から考えてみましょう。

まず、体のサイズが以前とはまったく違います。僕の学生時代の体重は92キロ、チームで最重量でした。今のチームは最高125キロの選手がいる他にも100キロ以上の選手がごろごろいます。当たり前ですね。食べているものが違います。

昔の日本人はとにかく米を食えといわれて育ちました。僕の子どもの頃もごはんを「おかわり」すると褒められる、という文化でした。学生になって街の中華料理屋に入ればラーメンにライス、炭水化物ばっかりです。でも、最近の子どもたちはおかずが豊富にあってたんぱく質をたくさん摂ることができます。身体を作るためには炭水化物だけでなく、良質なたんぱく質を摂取すべきことを、スポーツをやっている若者はみな知っていて、プロテインも一般化しています。その上で、ウエートトレーニングもする。つまり、サイズとともに中身も筋肉質に変わっているのです。

また、ウエートトレーニングのみならず、ストレッチをはじめとする補助トレーニングの進化も見逃せません。僕の大学時代にストレッチを取り入れていたのはアメフトくらいでしたが、今ではどんな競技でもトレーニング前に可動域を広げるストレッチや「動作を鍛える」ための補助トレーニングをして入念に準備をします。

筋肉量の増加に伴い体重が増え、スピードも上がる。その上で「動作」という身体の使い方が上手くなり、可動域が広がればどうなるか。過去の選手ではできなかった動き、あるいは姿勢ができるようになるのは物理的な問題として理解できるはずです。筋肉や動きは進化しても、関節の構造が変わるわけではありませんから、ケガが増えるのは無理もありません。現代アスリートの基礎能力は昔より格段に上がっているのです。

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