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パパの育休制度、日本は世界有数 問題はパタハラ

2019/6/26

■男性の育休にパタハラへの懸念も

こうした中、育児休業や短時間勤務制度、子の看護休暇などを利用しようとする男性に対して嫌がらせや不利益な取り扱いをする、「パタニティーハラスメント」(パタハラ)が、新たな問題として注目されています。妊娠・出産を理由に職場で嫌がらせなどをする「マタニティーハラスメント」(マタハラ)については、問題であるとの理解がかなり浸透してきていますが、パタハラについては認識不足からくる言動が散見されます。

パタハラの典型的な例としては、育児休業などを利用しようとすると、上司が降格や減給をほのめかしたり、請求を取り下げるように言ったりすることや、同僚などが「休まれると迷惑だ」など発言し、繰り返し請求をしないようにいうことなどが挙げられます。単に「男が育休なんて」などと発言するだけでは該当しないものとされ、その労働者へ直接的な言動である場合にハラスメントに該当すると考えらえます。

以前から、育児休業や介護休業などを理由とする不利益取り扱いは禁止されていましたが、17年1月から育児・介護休業法が改正され、上司・同僚からの育児・介護休業などに関する言動により育児・介護休業者などの就業環境を害することがないよう、事業主として防止措置を講じることが義務づけられました。不用意な言動で人を傷つけたりすることがないように、日ごろからの言動に気をつけたいところです。

また、法律では「その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」と定めています(育児・介護休業法第26条)。配慮とは、必ずしも配置の変更をしないことや費用負担を軽減するための積極的な措置を講ずることを企業に求めているわけではありませんが、業務上の必要性はもとより、養育の状況を十分に把握するなど真摯な対応が求められます。

男性が育児休業を申し出ることに、「どうせわかってもらえない」という諦めや「家庭内の状況を会社に言うのは……」というためらいの声なども聞かれますが、会社の受け止め方も今後変わってくるのではないでしょうか。

一方で、「ただ休まれるだけでは、かえって負担」という女性の声があるのも事実。形ばかりの育児休業ではなく、育児でパートナーから頼りにされるために、日ごろから家事労働にどれだけコミットして家事能力を高めていくか、その協働姿勢が問われているのではないでしょうか。育児休業は、期間限定のものです。働きながら子育てを持続可能にするためには、長時間労働の削減はもちろん、リモートワークなどライフスタイルに合わせて柔軟な働き方ができることや、休暇が取りやすい職場環境であることも大切な要素といえるでしょう。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。

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