日産の新型「デイズ」 軽とは思えぬ上質感・静粛性

2019/7/14

実は、同じデイズであっても、自然吸気モデルではこうはいかない。こちらの場合、エンジン出力の余裕のなさから4000rpm付近までを常用することになり、それなりににぎやかな印象が強い。

一方、今回のターボ付きモデルの場合には、相当急ぎ気味にスタートしたときに、4000rpm程度までを瞬間的に使うという感覚。当然、常用域でのエンジン回転数はそれをかなり下回る範囲にとどまることになり、特に高速道路を走ったり3人以上で乗車したりというような場面では、エンジンの違いによる差は大きい。

マイルドハイブリッドシステムの減速時の回生エネルギーは先代比で約2倍になり、アイドリングストップ時間は同約10%アップ、モーターアシスト時間は同10倍以上に拡大したという。燃費値はWLTCモードが19.2km/リッターで、JC08モードが25.2km/リッター
「ハイウェイスターGターボ」では最高出力64ps、最大トルク100Nmを発生する0.66リッター直3ターボエンジンに、2kWの出力を持つマイルドハイブリッドシステムが組み合わされている

ちなみに、新型デイズシリーズに搭載されるエンジンは、1リッターまでの排気量をカバーするというルノー・日産グループのユニットがベース。それゆえ、0.66リッターで用いるにあたっては基本設計にゆとりがあることも、振動・騒音面で有利と考えられる一因だ。

加えれば、日産が「スマートシンプルハイブリッド」と称するスタータージェネレーターを組み合わせていることで、アイドリングストップ時からの再始動が極めて静かに行われるのも特筆もの。このあたりをとっても、やはり「軽自動車離れをしたぜいたくな設計が取り入れられている」と言えそうなのが、今度のデイズである。

UIは改良の余地アリ

さらに、フットワークの仕上がりに関しても、なかなか感心させられた。

さすがに、全幅よりも全高の方がはるかに大きいパッケージングゆえのロール感の大きさや、わだちを横切る際の揺すられ感の大きさなど、固有のディメンションから来る避けられない挙動も、皆無とはいえない。

一方で、こうしたディメンションを持つ同類モデルの中にあっては「なかなか走りがしっかりしているな」という印象を抱いたのも、また間違いのない事実である。

そもそも、高速道路上でちょくちょく追い越し車線へと出る気にはなりづらい軽自動車であるという点を踏まえると、同一車線上でのステアリング支援機能付きアダプティブクルーズコントロール、すなわち「プロパイロット」も、十分に実用装備といえる出来栄えだ。

ただし、このデバイスの仕上がりで最も気になったのは、いったん停止した後の再発進時における加速力があまりにも弱く、多くの場合、前車への追従ができずにアクセルの踏み増しが必要だという点。どうやら、運転に慣れないユーザーも少なくない軽自動車に搭載することから、そうしたシーンでの加速力はあえて「控えめ」に設定したもようだが、そんな配慮を施すならば、現在はスイッチが小さく手順も分かりにくい操作系を、まずはより簡潔で、直感的に扱えるデザインへと改めることの方が先決であろう。

いずれにしても、日産としては久々の新作となり、初めて手がけた軽自動車でもあるデイズシリーズが、「渾身(こんしん)の力を込めた作品」であることは十分に感じとれた。

願わくば、プロパイロットを筆頭とした先進のADASをこうした普及モデルにまで入れ込んだのと同様の開発に対する気概を、今度はぜひとも「国内専用」にとどまらないモデルでも示すことで、(ワイドショー的な話題ではなく)あらためて製品面から「NISSAN」の存在感を世界に発信してもらいたいものだ。

(ライター 河村康彦)

■テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1640mm
ホイールベース:2495mm
車重:880kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:64ps(47kW)/5600rpm
エンジン最大トルク:100Nm(10.2kgm)/2400-4000rpm
モーター最高出力:2.7ps(2.0kW)/1200rpm
モーター最大トルク:40Nm(4.1kgm)/100rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ダンロップ・エナセーブEC300+)
燃費:19.2km/リッター(WLTCモード)/25.2km/リッター(JC08モード)
価格:164万7000円/テスト車=213万1083円
オプション装備:特別塗装色<アッシュブラウン&フローズンバニラパール 2トーン>(6万4800円)/寒冷地仕様<前席ヒーター付きシート+ヒーター付きドアミラー+リアヒーターダクト+PTC素子ヒーター+高濃度不凍液>(2万4840円)/SOSコール(3万2400円) ※以下、販売店オプション LEDフォグ白色発光<インテリジェントアラウンドビューモニター付き車用>(4万7952円)/ナビレコパック+ETC 2.0+USBソケット(27万1593円)/ウィンドウはっ水12カ月<フロントウィンドウ1面+フロントドアガラス2面はっ水処理>(1万0098円)/シートアンダードロー(1万2528円)/フロアカーペット<エクセレント、ブラック、消臭機能付き>寒冷地仕様車用(1万9872円)

[webCG 2019年6月17日の記事を再構成]

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