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元日テレ記者 乳がん闘病復帰から10年の軌跡

日経doors

2019/6/24

自らの闘病を機にがん患者支援活動を行ってきた元日テレ記者の鈴木美穂さん
日経doors

日本テレビの記者、キャスターを務めていた鈴木美穂さんは24歳の時に乳がんを患います。8カ月に及ぶ闘病生活を経て職場復帰。再び記者としてがんに関する情報を発信するとともに、プライベートでもがん患者のために精力的に活動を続けます。そしてがん患者だけでなく、がんに影響を受けたすべての人が気軽に訪れ、相談できる英国発祥のマギーズセンターの日本版、マギーズ東京センターの開設にこぎ着けました。闘病復帰後10年の節目となる今年、世界一周の旅へ。そんな鈴木さんの挑戦の日々とこれからについて、じっくりと伺いました。

■がんになったから伝えられることがある

がんを患ったのは今から11年前の2008年、24歳の時でした。その後休職し、右胸摘出の手術と抗がん剤の投与による治療を始めました。09年1月に8カ月の休職を経て職場復帰した私は、休職前と同じ記者としてのポジションで働くことになりました。当然大病を患った身ですから、寝る間も惜しんで働くバリバリの記者の道はあきらめなければなりません。ただ、自分なりの情報発信の方法があると考えていました。闘病を経験したからこそ、上から目線にならずにがんについて伝えられることがある、がんで苦しんでいる人の力になりたい、がんになっていない人にも理解を広めたい――そんな思いを抱いていました。

がんになった人の日常に密着したドキュメンタリーを制作したり、厚生労働省の担当記者としてがんや病気に関するニュースを追いかけたりする日々が続きました。そんななか出会ったのが、山下弘子さんです。生命保険会社アフラックのCMに出ていたといえば思い出す方も多いのではないでしょうか? 彼女は大学1年生、19歳のときに肝臓に巨大ながんが見つかり、余命半年を宣告されました。その後手術したものの、再発転移を繰り返していました。

■山下弘子さんに密着取材

友人に彼女のブログを教えてもらい、読んだときには衝撃を受けました。治療の真っただ中にありながら、「すべてのことに意味がある」「ありがとう」と前向きな言葉が並んでいる。私には考えられないことでした。どうしても直接会って、なぜそんなに前向きになれるのか話を聞きたかった。ブログ経由でメッセージを送ると、「アジア放浪の旅をしていて、今、関西国際空港に戻ってきたばかりです」と反応がありました。がん治療中なのにアジア放浪? それだけで驚きましたが当時の上司に許可を取り、翌日すぐに会いに出かけました。

闘病中でありながら好きなことをして自然に笑って、「がんに人生を支配されていない」山下さん。絶対に彼女の生きざまを伝えたいと強く思いました。つきっきりで取材し、まとめた映像を放送するとその反響は予想以上に大きかったです。

その後も彼女とは富士登山をしたり、宮古島に旅行に出かけたりと公私にわたっての交流が続きました。彼女は「死ぬ気がしない! 80歳まで生きる」と言う一方で、「今日が最後かもしれない」とも話し、今を大切に丁寧に生きる気遣いの人でした。だから最後に緊急入院したときも目を覚まして「驚かせてごめんね」と笑って言ってくれると信じていました。

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