発達障害の子どもたち ほぼ半数に睡眠の悩み

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/6/25
ナショナルジオグラフィック日本版

写真はイメージ=PIXTA

日本の小学生にあたる就学児童を対象にした国内外の疫学調査で、約4分の1の児童が何らかの睡眠問題を抱えていることがわかっている。その内訳も、いわゆる睡眠習慣の問題だけではなく、不眠症、過眠症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠時驚愕症(夜驚)、夢中遊行(いわゆる夢遊病)など多種多様な睡眠障害がみられる。とりわけ睡眠問題が多く見られるのは「自閉症スペクトラム障害(ASD)」や「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などの発達障害のある子供たちだ。今回は発達障害と睡眠の関係を見ていきたい。

発達障害がある子供たちの睡眠問題は、一般児童に比べて、その頻度が50%以上と約2倍に跳ね上がる。なぜ発達障害のある児童では睡眠問題が多いのか、その理由はほとんど明らかになっていない。発達障害で機能異常が疑われている神経ネットワークの一部は睡眠―覚醒の調整にも関わっている。また、抑うつや不安などの心理的ストレス、社会的コミュニケーションの不足などが、睡眠の質や量の低下、体内時計の調節不全などをもたらしているのかもしれない。しかし、これらはあくまでも推測の域を出ない。

いずれにせよ、発達障害の子供の診療では睡眠問題に対処しなくてはならないことが多い。寝つきの悪さ(なかなか寝床に入りたがらないという症状として表れることも多い)、不規則な睡眠リズム、昼夜逆転、寝起きの悪さなどのために登校させるのに苦労しているなど、保護者からの相談も絶えない。中でも特にてこずるのが「日中の眠気」である。

なぜ発達障害の「日中の眠気」は頑固なのか?

例えば、ADHDでは多動や衝動性、注意欠陥などの中心的な症状については一定の効果が期待できる治療薬がある。夜間の不眠に対しても睡眠習慣の指導を行った上で、どうしても必要であれば睡眠薬や鎮静剤を用いることができる。

ところが、彼らの「日中の眠気」はとてつもなく難敵なのである。睡眠不足による眠気であれば睡眠時間を伸ばすことで解決できる。ところが、ADHDやASDの眠気は睡眠不足とは無関係に出てくることが少なくない。むしろ、昼も夜も暇さえあれば眠って困るということがある。

そもそもADHDの治療薬の一つであるメチルフェニデートはもともと過眠症の治療薬として用いられていた。過眠症とは夜に十分眠っても日中に強い眠気が生じる睡眠障害の一種で、代表的な疾患はナルコレプシーだが、メチルフェニデートはその特効薬なのである。つまり、病的に強い眠気も払ってくれる医療用覚醒剤の一種である。多動や注意欠陥にも効果があるため、現在はADHDの治療薬としても用いられているが、その強力な覚醒効果で日中の眠気も改善してもおかしくないはずなのに、ほとんど効果が得られないことも少なくない。

なぜ、発達障害の眠気は頑固で、メチルフェニデートも効きにくいのだろうか? その答えのヒントがあるツイッターに載っていた。

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