「宝飾品の豊かな表現力、どう見せるかチャレンジ」「カルティエ、時の結晶」展ディレクターに聞く

2019/6/19

■展示のための布を京都で織る

――「時の結晶」展は70年代以降の現代作品を中心に据え、歴史的コレクションとともに見せる趣向です。

「これまでは過去のコレクションを学術的に分析し、ジュエリーと社会の結びつきと双方の進化を照らし合わせながら鑑賞するものでした。今回は主に芸術的な側面を体験してもらう趣向です。色や形やデザイン、何からインスピレーションを得て、どう変わってきたのかに主眼をおいています。線の美しさが展示されている一方で、自然の動植物に着想した写実的なものがあります。ジュエリーの表現力がいかに豊かなのか、と圧倒されるはずです。300点のうち半数ほどが世界中からお借りした個人所蔵の希少なものであるのも見どころです」

――会場の構成は現代美術家の杉本博司氏、建築家の榊田倫之氏による建築設計事務所、新素材研究所が手掛けます。石や木材を多用した独自の空間だそうですね。

「石や木などいろんな素材の使い方があります。伝統的な京都の織物で展覧会のために織った布もあります。新素材研究所があらゆる素材をリサーチし、ブレスレットを留める展示台ひとつにもこだわりました。今回のように作品選びから会場構成まですべての要素を『時を超えて永遠性を得た美』という一貫性のあるテーマで表現することにこだわったのはかつてないことです」

■宝飾品は身につけるオブジェ 空間演出でも楽しみ

――絵画や彫刻の展覧会とは異なる、宝飾品の展覧会ならではの魅力はどこにありますか。

「宝飾品の特異で芸術的な側面を体験してもらう。時とともにカルティエの宝飾品がどう進化を遂げてきたかを感じてほしい」

「宝飾品は身につけるオブジェです。絵画や彫刻はそこに固定して展示するだけで100パーセント味わえますが、宝飾品は身につけることで光を浴び、光と遊ぶものです。置いただけではその素晴らしさを100パーセント味わえません。だからこそ美術館は宝飾品という特殊なオブジェのすばらしさを360度どう見せるかということにチャレンジする。そうして生み出された空間演出が、見る人を楽しませるのです」

「古代から人は宝飾芸術に圧倒されてきました。原石が地球から生まれたマジックであるからです。奇跡的に生まれた宝石に職人技、スタイル、創造性が組み込まれ、一層希少性の高いものが仕上がる。古代は神とつながりのある人しかジュエリーをつけることができませんでした。ただの宝飾品ではない、そうした神秘性も人々を魅了するのではないでしょうか」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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