Men's Fashion

「宝飾品の豊かな表現力、どう見せるかチャレンジ」

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「カルティエ、時の結晶」展ディレクターに聞く

2019.6.19

宝飾品製造で170年の歴史を持つ仏カルティエは、過去34回にわたりメゾンの歴史の証しとなるコレクションの展覧会を開催してきた。その35回目となる「カルティエ、時の結晶」展(主催 国立新美術館 日本経済新聞社)が10月2日、東京・六本木の国立新美術館で幕を開ける。今回の特徴は1970年代以降に製造した現代宝飾品に光をあて、歴史的作品とともに展示することだ。今展覧会の特色や楽しみ方について、カルティエ インターナショナル イメージ スタイル&ヘリテージ ディレクターのピエール・レネロ氏に聞いた。




■キュレーターの視点、製作の背景を再発見

――カルティエの展覧会はこれまでにどのような経緯で開かれてきましたか。

「そもそも最初の展覧会はルイ・カルティエ生誕100周年を記念してアメリカ、モナコで70年代に開かれました。その後カルティエは貴重な歴史的資料としてジュエリーや時計の価値ある作品の収集をはじめ、83年に『カルティエコレクション』を創設しました。収蔵品は3000点超あり、美術家からの注目度も高い。89年にパリで大規模な展覧会を開いて以来、各国でコレクションを披露してきました。それぞれの美術館のキュレーターが参画し、独自の視点で作品を選択するのがポイントです」

――外部のキュレーターの視点がはいることによって、コレクションに新たな発見がもたらされることはありますか。

「常にあります。カルティエのコレクションの背景には、制作された当時のアートという文脈があり、そこからさまざまなインスピレーションを受けています。キュレーターが当時の美術の時代背景と照らし合わせることで、何がジュエリーの制作に影響を与えていたかが分かることがあります。たとえば『ロシアのバレエ団の影響があった』といった具合に、様々な発見を与えてくれます」

記者発表するピエール・レネロ氏(6月5日、東京都港区)