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研究続けるリケジョを増やせ 国立大学、知恵絞る

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NIKKEI STYLE

大学が女性教員を増やす取り組みが成果を出し始めた。大規模な学内保育所を設けたり、女性に限定して教員を公募したりして研究の継続と研究者の定着を促している。支援制度の利用者による研究の実績も上がってきたという。特に女性が少ないとされる、理系分野に強い国立大学の取り組みを追った。

「おかえりー」。5月末の平日午後5時、東北大ニュートリノ科学研究センターの渡辺寛子助教(35)は仕事を終えると1歳の長男を迎えに行く。向かうのは東北大青葉山キャンパス(仙台市)の青葉山みどり保育園。研究棟からは徒歩10分の距離だ。

渡辺助教は長男を0歳5カ月から預けている。昼休みに授乳に出向くこともあった。「子供が体調を崩しても、すぐに駆けつけられる。職場から近くて助かる」と話す。

東北大は女性研究者の仕事と育児の両立を支援するため、学内保育園を複数設けている。18年開所のみどり保育園を含めた定員は計250人。大学内保育所としては全国最大級だ。

保育所の拡充や研究補助に加え、女性同士の交流を促すランチ会も始めた。東北大によると、18年度の教員の女性比率(助手を除く)は12.2%と10年で約4ポイント伸びた。

人数の増加に伴い、めざましい成果を上げる女性研究者も現れた。その1人、金属材料研究所の梅津理恵准教授(49)は海外渡航支援など女性向け制度を活用して3人の子供を育てながら研究を続けた。19年には優れた女性研究者に贈られる「猿橋賞」を受賞した。義母と子供を連れて海外出張したり、子供の世話をしてから深夜に研究室に戻ったり、両立の工夫を重ねた。

東北大は材料分野や半導体などの理系領域に強みを持つ。女性支援の施策を推進する大隅典子副学長は「創造的な研究には研究者の多様性が欠かせない。優秀な女性の流出を防ぐためにも、ロールモデルを増やし、女性がいるのが当たり前の状況をつくる必要がある」と訴える。

文部科学省によると、全国の大学教員の女性比率は24.8%。国立大に絞ると16.7%(国立大学協会調べ)にとどまる。国大協は「私大に比べて理系の学部が多いため」と分析する。01年の7.6%からは大幅に増えたが、水準は低い。

理系を志す女子学生が増えるなか、大学で研究を続ける未来図を描く女性はまだまだ限られる。一因はロールモデルの少なさだ。「ずっと周りに女性がいないのが普通だった」(梅津准教授)。渡辺助教は「『企業の研究職の方が働きやすそう』と大学を離れる女性を何人も見てきた」と語る。

東北大は17年度に学内の女性研究者を表彰する制度を始めた。活躍する女性の存在を学内外にアピールし、後に続く女性を呼び込むねらいだ。

九州大は女性限定枠を導入して女性教員を増やした。10年間で837人の応募があり、50人を採用した。ただ、増えたのは人数に限らない。

九州大の研究者が11~15年に出した論文を調べたところ、1人あたりの平均論文数は男性研究者で10本、女性研究者で6本。女性枠で採用された女性研究者に限ると13本と高水準だった。

研究者の世界では、40歳までの実績がその後のキャリアに大きく影響する。女性研究者が出産すると、育児の分研究にあてる時間が少なくなりがち。そこで育児中の女性を支える取り組みを用意した。

女性枠で09年に着任した農学研究院の安尾しのぶ准教授(43)は2歳の娘を育てながら研究を進める。育児中に研究員を雇える九大独自の制度を利用し、育休後の17~18年度は研究補助員を2人雇って書類作りやデータ入力を任せた。自身は研究の組み立てや論文の執筆などに注力、「補助員がいなければ研究どころではなかった」と振り返る。

木下博子准教授(34)は現在小学2年生の娘を1歳から小学校入学まで、4歳の息子を生後8週から、いずれも学内の保育園に預けて研究を続けた。息子の出産時は博士研究員(ポスドク)で、「1年更新のポストのため、育休を取得できなかった」。

木下准教授は「同年代の研究者が学会で賞をとったりすると遅れを感じる」と打ち明ける一方で、「学内の環境がなければ、ここまで持ち直せていなかっただろう」と話す。

研究から離れた女性が現場に戻るのを後押しする動きもある。名古屋工業大が14年度に設立した「OG人財バンク」では、OGが研究のデータ整理など経験を生かした補助業務を手がける。子育て中の人も多く、研究に携わるためのリカレント(学び直し)として活用する人も多いという。

OGの補助を受けるのも女性教員が中心だ。教員公募の女性限定枠の導入もあり、13年度に8%だった女性比率(非常勤を含む)は18年度に11.9%まで伸びた。

名工大のダイバーシティ推進センターの担当者は「女性の登用は対外的にも重要だ」と指摘する。「海外の大学から共同研究のパートナーに選ばれるには、研究内容に加え、大学の多様性確保の体制も指標の一つになっている」

研究者の層が厚くなる、指導を受けた学生らのキャリアのお手本になる、女性研究者自身のキャリアが継続することでより多くの業績が見込める――女性の大学教員が増えることの利点は多岐にわたっている。

チャンス奪う「配慮」は不要 ~取材を終えて~

深夜に及ぶ実験や海外で開かれる学会などで、研究者の生活は多忙だ。体力的な負担も無視できない。そんななか、「この仕事は女性にはきついだろう」と、悪意なく候補から女性を外すケースが見られるという。東北大の大隅典子副学長は「無意識のバイアスがある」と批判する。

子育て中の女性研究者がいれば、周囲の配慮や理解は確かに必要になる。ただ、配慮が一方的にチャンスを奪う結果になっては本末転倒だ。配慮すべき事情は個別にある。「女性だから」という理由だけで判断できることは本来ないはずだ。何が本人のためになるのか、一歩踏み込んで考えたい。

(酒井愛美、中島沙由香)

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