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相手が話した英語を誤解して受け取ってしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんは「日本人が聞き手として勘違いしやすい英語表現がある」と言います。今回は、「紹介する」に相当する言葉が持つ微妙な文化の差についてお話しします。

◇  ◇  ◇

大きなプロジェクトを抱えていたユウカは、その期間に仕事を補佐してくれるアシスタントを探していました。同僚のスティーブが親切にも、候補者の中から有能な部下を選べるように、若手を何人か紹介してくれるようなのですが……いや、もしかして逆? ユウカは混乱してしまいます。日本人にとっては紛らわしい、ある単語の使い方が引っかかったのでした。

それはこんな会話でした。

Steve: Did you say you're looking for an assistant?
Yuka: Oh, yes. I need someone to help me with a project.
Steve: We have some potential people. I'll introduce you to some of them.
Yuka: Ah...wait. You mean, they may not choose me?
Steve: Sorry?
Yuka: You'll introduce me to them, not them to me, right?
Steve: What's the difference?!

日本語に訳すと次のようになります。

スティーブ:アシスタントを探しているって言ってたよね?
ユウカ:ええ、まあ。プロジェクトを手伝ってくれる人が必要なの。
スティーブ:候補者がいるんだ。何人かに君を紹介するよ。
ユウカ:あの……待って。私を選んでくれないかも、ってこと?
スティーブ:えっ?
ユウカ:彼らを私に紹介するんじゃなくて、私を彼らに紹介するんでしょう?
スティーブ:なんの違いがあるの!?

たとえばbrotherを「兄」と考えるか「弟」と考えるかのように、日本語では違いを気にするけれども英語ではさして区別しない語があります。誰かを紹介するときに使う動詞introduceも、ある意味では似たようなものかもしれません。上の会話で行き違いが生じたのは、スティーブの言ったI'll introduce you to some of them.という英語を、ユウカが「日本語の感覚」で理解しようとしたことに原因があります。彼の言葉を聞いて、ユウカは心の中でこう思ったのでした。

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