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ワゴンに悪路走破性 ボルボV60クロスカントリー

2019/7/7

加えて言うなら新型V60系のデザインにおいて、ボルボらしさを感じさせるのはグリーンハウスの形状だ。兄弟車となるセダンは先代以降6ライトを採用していないが、それでもクオーターウィンドウの長さをなるべく確保しようとDピラーの細さにも気を配り、荷室に確かな存在感をもたせている。

■いささかスポーティーに過ぎるエンジンと乗り味

一方、車内空間についてはというと、Dセグメント系FFワゴンとなれば「フォルクスワーゲン・パサートヴァリアント」のような超絶ユーティリティーカーを想像する向きもあろうが、Aピラーを立てたぶんキャビンが後方に引けていることもあって、V60系には全長から期待されるような室内の広大さは望めない。昔のようなスクエアテイストを醸しているものの、「デザインしろ」に幾ばくかを割いているのが現代のボルボの成り立ちであることは、購入検討の上では知っておいたほうがいいだろう。

荷室容量は5人乗車の状態で529リッター、後席をたたんだ状態で1441リッター。「T5 AWDプロ」にはハンズフリーオープン/クローズ機能付きパワーテールゲートが標準装備される

とはいえ、そこまでカッチリと容積のキワも使い切るようなユーザーもいないだろうということになれば、V60はなかなかオーセンティックなワゴンだ。もちろんクロスカントリーもユーティリティーに遜色はない。

では走りはどうかといえば、これもほぼ遜色がないレベルに達しているといえるだろう。タイヤの大径化に伴うバネ下の重さは大きな凹凸ではわずかに感じることもあるが、目地段差などのこなしもまずまず穏やかだ。が、強大な入力に対しては十分にいなしが利かず、がさつなフィードバックが表れることもある。想像の範疇(はんちゅう)だが、このクルマのクロスカントリーという趣旨を鑑みれば、ひとつ下の18インチタイヤを履くベースモデルの方がベターなのではないだろうか。そのくらいエアボリュームがあったほうが、乗り味にも優しさを感じられるだろう。

スポーティーな走りとシャープなデザインが身上の「ボルボV60クロスカントリー」。北欧のクルマにもっさりとしたイメージを持つ人は、いささか戸惑うかもしれない

加えて言えば、254psのエンジンも「ここまではいらないかな」と思えるほどに力強く、それは当然速さにも反映される。ここでも思うのは、半ばイチャモンのような話に聞こえるかもしれないが、「果たしてボルボがこれほどソリッドでスピーディーな性格であることを、どれだけの人が期待しているのだろうか」ということだ。

■この多様性は確かに魅力だが……

2018年の世界販売台数は初の60万台突破。しかもボルボの販売は絶好調で、レクサスにも迫りつつある。多分に新世代のデザインとアーキテクチャーががっちりとかみ合い、SUVブームにミートした商品展開が奏功してのことだろう。実際、街中でみる新しいボルボは、かつてのアウディのようにクールで目に眩(まぶ)しい。スカンジナビアンのニューウエーブにふさわしいシャープネスもある。自動車メーカーのリブランドの成功例としては、それこそアウディ以来ではないだろうか。

V60クロスカントリーは、その体格も生かしながらV60同然の機敏で力強い走りを実現し、それをもって「XC60」との動的な差も感じられるものとしている。実質50万円の価格差で多用途性のある四駆が手に入ると思えば、V60じゃなくこっちを選ぶという人も多いだろうし、その立場であれば僕もクロスカントリーの側を選びたい……が、最後まで引っ掛かるのは自分が望む北欧との温度差だ。少なくとも僕は、悪路も走れるボルボと聞けばなおのこと、農耕馬のようにずっしりもっさりとしたものを望んでいるのだと思う。

(ライター 渡辺敏史)

■テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4785×1895×1505mm
ホイールベース:2875mm
車重:1830kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:254ps(187kW)/5500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1500-4800rpm
タイヤ:(前)235/45R19 99V XL/(後)235/45R19 99V XL(コンチネンタル・プレミアムコンタクト6)
燃費:11.6km/リッター(JC08モード)
価格:649万円/テスト車=709万9000円
オプション装備:メタリックペイント<バーチライトメタリック>(8万3000円)/チルトアップ機構付き電動パノラマガラスサンルーフ(20万6000円)/Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム<1100W、15スピーカー、サブウーファー付き>(32万円)

[webCG 2019年6月12日の記事を再構成]

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