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ミネルバ大の旅する授業 先端素材とハングルに出会う

ミネルバのふくろう(9) 日原翔

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NIKKEI STYLE

特定のキャンパスを持たず、世界中の都市を移動して共同生活を送りつつ学ぶ「ミネルバ大学」。U22の前身カレッジカフェ時代から連載してきた「ミネルバのふくろう」は、日本人初の入学者である日原翔さんがミネルバ独特のカリキュラムや学びについて語るものです。9回目の今回は2年生になった日原さんが韓国で経験したことをお伝えします。

こんにちは。ミネルバ大学の日原翔です。1年間の米国での勉強を終え、2年目からは学期ごとに世界各都市を渡り歩きます。その最初の都市が韓国ソウルです。ミネルバのカリキュラムの中で独特なものに、Civic Projectというものがあります。「都市プロジェクト」と直訳されるこのプログラムは、学生達が地元の企業や団体とタイアップしてそれぞれのプロジェクトに取り組むというものです。プロジェクトの内容は実に十人十色で、研究室に所属するようなアカデミックなプロジェクトもあれば、非政府組織(NGO)で社会問題に取り組むようなものもあり、生徒の個性が光ります。

「都市プロジェクト」を通じて出会った複合素材の世界

私はこの機会を通じて、漢陽大学の「Structures and Composites Lab」に所属し、複合材料という分野の研究に携わりました。ここでは様々な化学物質を組み合わせることで材料の強度やしなやかさを用途に合わせて高めていく、という研究をしています。内容は高度な化学や物理学の理論と膨大なデータ分析が入り交じる、とてもアカデミックなものですが、産業にダイレクトに応用が利くのでメーカーなどの企業の方々と共同で作業をすることも多かったです。

この研究活動の一環で、私は「JEC-Asia」というアジア最大規模の複合材料展示会に通訳として参加しました。ブースを開いている日本企業の方々と、フランスなどの他国からやってきた企業の方々との交流や商談を円滑に進めるような役割です。様々な企業からやってきた方々と話している中で、グラフェンという素材を専門にする企業のチームと出会いました。

お互いの研究内容などについて情報交換しているうちに気がつけば私と彼らは意気投合し、私のCivic Projectとは直接関係がないにもかかわらず頻繁に連絡を取り合う仲になりました。ある日、そのグラフェン企業の社長さんが私にグラフェンを実際に製造する工場を見学しないか、と誘ってくれました。断る理由があるわけもなく、お誘いから3日後には釜山まで出向いて、黒鉛からグラフェンを抽出していく過程について教えてもらいました。化学理論のレベルが高くて当初は半分も理解できていなかったグラフェンの構造や抽出法も、目の前で実際に機械が処理しているのを見ながら手取り足取り専門家に説明されると、意外とスッと頭に入ってきてうれしくなったのは今でも鮮明に覚えています。連結された巨大な機械の中を通過していく黒色の物体が徐々にグラフェンへと形を変えていくのにはいかんとも形容し難い興奮がありました。

複合素材グラフェンから書道につながる

そんな複合素材を通じて出会ったグラフェンですが、ここからさらにつながりは広がります。工場見学に私を呼んでくれたグラフェン企業の社長と、ソウル市内にあるハングル(韓国語の文字体系)博物館の館長が交流を持っていて、近々その博物館で開かれる書道イベントに私を招待してくれるという話を持ちかけられたのです。

この博物館が想像以上に面白い展示内容で、どのような背景でハングルが制定されるに至ったのか(ハングルは自然発生した文字ではなく、世宗という王が作り上げたとされている)や、ハングル文字の形が実はその音を出す際の口の形を模している、などそれまで私が全く触れたことのなかった歴史や知識に触れることができました。特にメインイベントであった著名書道家のパフォーマンスは圧巻でした。日本語の書道とは表現の方向性がかなり違うように感じられて、半紙に墨というおなじみの道具から生み出される未知の模様は、私に不思議な違和感と畏敬の念をもたらしました。

1+1≠2? 出会いの連鎖が広がる不思議

話があちこちに広がってしまいましたが、それこそが私が今回伝えたいものです。元はと言えば学校のカリキュラムの一環で行っていた複合材料の研究が、グラフェンの化学構造に対する理解、韓国語の歴史背景に関する知見、そしてハングル書道アートへの畏敬の念というように多様に形を変え、私に多くの見聞をもたらしてくれました。人との出会いの連鎖というのは本当に不思議でありながら面白いものだと感じます。どこから何がくるか分からない。でもだからこそ可能性が拓けていて、毎日が予測不可能で楽しくなるのだと思います。複合材料も人との縁も、1+1が2にならないという点で共通しているのかな、と感じたミネルバ生活ソウル編でした。

日原翔(ひはら・しょう)
1998年埼玉県生まれ。聖光学院高等学校を中退し、経団連の奨学金制度でカナダのPearson College UWCに2年間留学。2017年9月よりミネルバ大学に進学。身体を動かすことが好きで、現在はダンスに熱中している。科学や政治経済にも関心を持っており、自身の将来像は未だに悩みあぐねている。座右の銘は「二兎を追う者のみが、二兎をも得る」

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