家業「のりたま」継いだ銀行エリート 20年で組織一新丸美屋食品工業 阿部豊太郎社長(下)

――銀行勤めの経験が経営者としてプラスに働いた点は?

「経済界では、最近、新卒一括採用を見直して通年採用を拡大しようという動きも出ています。企業側の都合で言っているケースもあるのでしょうが、働く本人にしてみても、いろんな経験を積めるチャンスがあったほうが、仕事への理解も深まるし、成長もできるんじゃないでしょうか。私個人の経験から言っても、一度、よその組織を経験してみるのは、貴重な経験だと思いますね」

「営業に関しては、全国の担当者全員を、年に2回は集めて情報共有しています。マーケティング、生産部門に関しても幹部を集め、その時点での方向付けを改めて確認。会議に関しては数を増やした部分と、あまり機能していなかった会議をやめた部分と両方あります。そういうことは、いきなり丸美屋に入っていたら、わからなかったでしょう」

――社内改革という点で、特に力を入れているのは?

「マーケティング部門の強化は引き続き取り組んでいます。競合他社のなかには売上高が数千億円規模の会社もあれば、もっと小さなところまであります。そうすると、中ぐらいの規模の我々が生き残る道はどこにあるのか。強い部分をより強くする。そういう意味では、マーケティングや営業などスタッフ部門が大事ですので、そこの人的充実は常にしています」

直近の経営課題としては、マーケティング部門の強化を挙げる

「最近はデータがどんどん出てくるようになり、スーパーや小売店さんでもデータに基づいていろんな販売促進・営業活動をしますので、それに対応し、我々も理論武装しないといけません。そういう意味で、マーケティング部門の強化は大事です」

――現場感覚を持ち続けるために必要なことは何でしょうか?

「現場で働いている人たちの正直な感想を大事にすることですね。『普通』の感覚を持ち続けることが必要です。組織というのはどうしても、上のほうへ上がっていくと、情報が取捨選択され、少しねじ曲げられたりします。なかなか全員の話を平等に聞くのは難しいですけれども、できるだけ心がける。要するに正しい情報、偏っていない情報をできるだけ集めることでしょう」

「なにも商売に関する情報ばかりじゃないんです。若い人が会社に不満を持っていないかとか、そういうことも含めて、いろんな意見を聞くことは大事です。それは年を取るとなかなかできなくなってくるんですが、できるだけやろうとしています」

――後継者については?

「息子が2人おりまして、長男は銀行員、次男は去年、丸美屋に入社しました。今はマーケティング部におりますが、まだまだ勉強中です」

大手銀行に長く勤めた後、家業を継いだ阿部社長のケースでは、15年間にわたる銀行暮らしが経営者としてプラスに働いたところが大きかったようだ。創業家型企業で事業承継が重い経営課題となるなか、十分な「他流試合」を積んだ後継者を迎える事例はこの先も増えていきそうな気配だ。

(ライター 曲沼美恵)

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