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月収2万円低い氷河期世代 政府の就職支援策は有効か

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NIKKEI STYLE

政府は6月、30代半ばから40代半ばの就職を支援する方針を示しました。この世代は高校や大学を卒業する時期に深刻な不況に見舞われ、企業が採用を絞り込んだため「就職氷河期世代」と呼ばれています。政府は職業訓練の強化などにより安定した雇用を増やすとしていますが、実現は可能でしょうか。

氷河期世代は一般的に1970年から82年生まれを指し、全体では2300万人超います。バブルが崩壊した90年代の半ば以降、就職の厳しい時期が長く続きました。文部科学省の調査によると、大卒の就職率は91年に81%でしたが、氷河期の底ともいわれる2000年ごろには50%台半ばまで低下しました。

新卒採用の時期にとどまらず、以降も雇用状況が好転しなかったのが氷河期世代の特徴です。正社員への道が長く閉ざされたため、30~40歳代になっても非正規雇用の比率が高止まりしています。給与の面でも厳しく、連合総研が16年に発表した報告書によると、氷河期世代である40~44歳の大卒者の平均賃金は前の世代に比べ月2万円も少なくなっていました。

氷河期世代の最年長は50代にさしかかります。日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「未婚の増加ときょうだい数の減少により、氷河期世代には親の介護が集中しやすい」と心配しています。下田氏は、同居する親の介護で生活が困窮する可能性のある氷河期世代の最年長層が、33万人いると試算します。絶対数も人口比も前の世代より多くなると見積もっています。

政府はこうした問題も見据え、氷河期世代の正規雇用を3年で30万人増やす目標を掲げました。具体的な支援メニューとしては職業訓練の拡充などを挙げていますが、専門家の見方はどうでしょうか。

労働経済学者で東大准教授の近藤絢子氏は「訓練が有効な層もいるが、何十万人もの正規雇用を確保するという考え方には無理がある」とみています。企業の立場からすると、氷河期世代より働く期間の長い若者の訓練や処遇改善を優先するのが自然だからです。実際、18年の大卒や高卒の初任給が過去最高を記録した一方、30代以上の給与は伸び悩んでいます。

氷河期世代にターゲットを絞ることにも懐疑的な見方があります。横浜市でホームレスなどを支援する寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は「若者の野宿者が増え出したのは08年のリーマン・ショック以降」と話しています。氷河期世代の後も若者の非正規雇用の比率が高い時期は続きました。「不遇の世代が再び生まれないよう、雇用制度のあり方を考える必要がある」(日本総研の下田氏)といえそうです。

近藤絢子・東京大学准教授「所得の再分配も選択肢」

就職氷河期の世代の特徴や支援のあり方について、東京大学の近藤絢子准教授に聞きました。

――そもそも就職氷河期世代とはどのような人たちを指すのでしょうか。

「1994年(平成6年)ごろから2003年(平成15年)ごろにかけて高校や大学を卒業した世代だが、始まりと終わりをどこに置くかは諸説ある。バブル崩壊後の不況の影響で失業率や就職率といった指標が大きく悪化した期間が長く続いた。この時期の卒業者は安定した職に就くことができず、職に就いたとしても非正規雇用や低賃金など不安定な働き方を強いられ続けた」

「特に就職活動の途中で(大手証券の一角だった)山一証券が自主廃業するなど金融危機に見舞われ、採用が急速に冷え込んだ99年卒が精神的な意味でも最悪の世代だったとの見方がある。ただし注意すべきは、就職氷河期の後続世代がそんなに恵まれているというわけでもない点だ。確かに景気は一時回復したが、すぐに08年のリーマン・ショックに端を発する世界金融危機に見舞われた。後続世代の04~07年卒も非正規雇用の割合は高い」

――昔から就職が厳しい世代はあったはずですが、氷河期世代は何が特徴的ですか。

「確かに70~80年代も就職の厳しい時期はあったが、日本経済の成長は続いていたので、就職のつまずきを取り戻すチャンスが多かった。しかし90年代以降は不況や低成長の時期が長く続き、人口が高齢化したために社会保障の負担も大きくなった。厳しい就職状況と周辺の経済・社会状況の悪化が重なったという点で以前とは違う。若年失業率が高いイタリアなど南欧諸国や、いったん就職につまずくと復活が難しい韓国なども似た問題を抱えている」

――政府は教育訓練などで氷河期世代を支援すると言っています。

「引きこもりの期間が長かった人への支援も含め、教育訓練が有効な人は確かにいる。しかしこの世代の何十万人もの人たちに安定した正規雇用を確保しようとするのには無理がある。企業も教育訓練の投資をした分の回収期間を考えれば、現在30~40代の氷河期世代を訓練するよりは、20代の訓練に力を入れるだろう」

「さらに氷河期世代の不安定就業者の多くは、コンビニの店員や介護職などで懸命に能力を高めながら働いてきた人たちだ。ただこうした業種は産業全体でのウエートを高めながら、低賃金などの構造が続いている。サービス業などで働く多くの人たちがすぐに正社員となり、給料も増える世界がすぐに来るとは、産業構造の点からも考えにくい」

――では何が必要でしょうか。

「所得の多い人から税や社会保険料を多く集め、所得の少ない人に支給する再分配だろう。日本は現役世代の間の再分配の度合いが低い。具体的には所得税の累進度合いを高めたり、所得の低い人の社会保険料の減免措置を拡充して負担を軽くするなどした上で、低所得の人の生活を楽にするための現金や現物の支給を考えることだ。マイナンバーの普及が進めば支給はやりやすくなるだろう。再分配の強化には政治的な反発が強いことは承知しているが、人口ボリュームが大きい氷河期世代を就職支援だけで救うのは無理がある。教育訓練については、氷河期世代以降の若者も含めて実施した方が有効だ」

(高橋元気)

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