月収2万円低い氷河期世代 政府の就職支援策は有効か

――昔から就職が厳しい世代はあったはずですが、氷河期世代は何が特徴的ですか。

「確かに70~80年代も就職の厳しい時期はあったが、日本経済の成長は続いていたので、就職のつまずきを取り戻すチャンスが多かった。しかし90年代以降は不況や低成長の時期が長く続き、人口が高齢化したために社会保障の負担も大きくなった。厳しい就職状況と周辺の経済・社会状況の悪化が重なったという点で以前とは違う。若年失業率が高いイタリアなど南欧諸国や、いったん就職につまずくと復活が難しい韓国なども似た問題を抱えている」

――政府は教育訓練などで氷河期世代を支援すると言っています。

「引きこもりの期間が長かった人への支援も含め、教育訓練が有効な人は確かにいる。しかしこの世代の何十万人もの人たちに安定した正規雇用を確保しようとするのには無理がある。企業も教育訓練の投資をした分の回収期間を考えれば、現在30~40代の氷河期世代を訓練するよりは、20代の訓練に力を入れるだろう」

「さらに氷河期世代の不安定就業者の多くは、コンビニの店員や介護職などで懸命に能力を高めながら働いてきた人たちだ。ただこうした業種は産業全体でのウエートを高めながら、低賃金などの構造が続いている。サービス業などで働く多くの人たちがすぐに正社員となり、給料も増える世界がすぐに来るとは、産業構造の点からも考えにくい」

――では何が必要でしょうか。

「所得の多い人から税や社会保険料を多く集め、所得の少ない人に支給する再分配だろう。日本は現役世代の間の再分配の度合いが低い。具体的には所得税の累進度合いを高めたり、所得の低い人の社会保険料の減免措置を拡充して負担を軽くするなどした上で、低所得の人の生活を楽にするための現金や現物の支給を考えることだ。マイナンバーの普及が進めば支給はやりやすくなるだろう。再分配の強化には政治的な反発が強いことは承知しているが、人口ボリュームが大きい氷河期世代を就職支援だけで救うのは無理がある。教育訓練については、氷河期世代以降の若者も含めて実施した方が有効だ」

(高橋元気)