月収2万円低い氷河期世代 政府の就職支援策は有効か

労働経済学者で東大准教授の近藤絢子氏は「訓練が有効な層もいるが、何十万人もの正規雇用を確保するという考え方には無理がある」とみています。企業の立場からすると、氷河期世代より働く期間の長い若者の訓練や処遇改善を優先するのが自然だからです。実際、18年の大卒や高卒の初任給が過去最高を記録した一方、30代以上の給与は伸び悩んでいます。

氷河期世代にターゲットを絞ることにも懐疑的な見方があります。横浜市でホームレスなどを支援する寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は「若者の野宿者が増え出したのは08年のリーマン・ショック以降」と話しています。氷河期世代の後も若者の非正規雇用の比率が高い時期は続きました。「不遇の世代が再び生まれないよう、雇用制度のあり方を考える必要がある」(日本総研の下田氏)といえそうです。

近藤絢子・東京大学准教授「所得の再分配も選択肢」

就職氷河期の世代の特徴や支援のあり方について、東京大学の近藤絢子准教授に聞きました。

――そもそも就職氷河期世代とはどのような人たちを指すのでしょうか。

近藤絢子・東京大学准教授

「1994年(平成6年)ごろから2003年(平成15年)ごろにかけて高校や大学を卒業した世代だが、始まりと終わりをどこに置くかは諸説ある。バブル崩壊後の不況の影響で失業率や就職率といった指標が大きく悪化した期間が長く続いた。この時期の卒業者は安定した職に就くことができず、職に就いたとしても非正規雇用や低賃金など不安定な働き方を強いられ続けた」

「特に就職活動の途中で(大手証券の一角だった)山一証券が自主廃業するなど金融危機に見舞われ、採用が急速に冷え込んだ99年卒が精神的な意味でも最悪の世代だったとの見方がある。ただし注意すべきは、就職氷河期の後続世代がそんなに恵まれているというわけでもない点だ。確かに景気は一時回復したが、すぐに08年のリーマン・ショックに端を発する世界金融危機に見舞われた。後続世代の04~07年卒も非正規雇用の割合は高い」