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株式の利益 住民税と所得税で課税方式分けて節税に 住民税の基本(下)

2019/6/16

良男 良かったなあ。

幸子 それだけじゃなくて、住民税に連動する後期高齢者医療の保険料も年3万円近くも減ったそうよ。75歳以上の人が加入する後期高齢者医療の保険料は、住民税の課税所得に連動する部分があるからね。

 住民税を申告不要にした方が得するケースは他にもあるの?

幸子 複数の証券会社の源泉徴収ありの特定口座で株式を運用していて、それらを損益通算するケースね。A証券で利益、B証券で損失が出ている場合、確定申告をして両口座の損益通算をしたほうが通常は節税になるわ。源泉徴収されていた税金の一部が還付されるからよ。

良男 なるほど。

幸子 ただし、年金生活者とか自営業者は要注意ね。国民健康保険の加入者は、申告することで所得が増えて、社会保険料負担が重くなる恐れがあるからよ。保険料が増えれば、税金が還付されても、家計全体では負担増になりかねないでしょ。その場合、住民税を申告不要にしておけば、保険料に響かないで済むわけよ。

 まるで魔法のようね。

幸子 例えば、東京都杉並区の19年度の国民健康保険料の所得割の料率は計11.27%。所得税、住民税ともに申告分離課税を選択して損益通算すると、20万円が還付されるけど、住民税の課税所得金額が100万円増えてしまうので、国民健康保険料は11万円超増えてしまうわ。だけど、所得税は申告分離課税、住民税は申告不要を選択して損益通算すれば、株式の売却益の分は加算されないので、保険料は増えないの。還付額は所得税分の15万円だけだけど、丸々プラスになる計算よ。

■所得税と別方式 申告が必要
税理士 藤曲武美さん

所得税と住民税の課税方式は2017年度から使い分けられるようになりました。それまでは自治体側の税務対応が追いつかず、所得税で選んだ課税方式が、自動的に住民税に適用されていたのです。17年度から自分に有利な住民税の課税方式を選べるようになりましたが、もし所得税と異なる方式を選ぶなら、地方自治体への申告が必要です。申告しないと所得税と同じ方式を選択したとみなされます。
住民税の「申告不要制度」を利用する場合も、自治体への届け出が必要です。書式は自治体によって異なるので、詳細や不明点は市区町村の税務窓口に問い合わせましょう。今年度分の課税はすでに始まっているので、次に課税方式を選べるのは、19年の所得をもとにした来年の所得税の確定申告と住民税の申告のタイミングになります。(聞き手は後藤直久)

[日本経済新聞夕刊2019年6月12日付]

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