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性能向上、捕獲難しい 違法ドローン対策は手探り状態

2019/7/1 日本経済新聞 夕刊

警視庁が5月の一斉摘発で押収したドローン(東京都江戸川区)

ラグビーワールドカップや東京五輪・パラリンピックといった国際的なイベントを控える中、ドローン(小型無人機)の違法飛行への対策が警察の重要課題になっている。警視庁は操縦者の取り締まりを進めるが、不意に現れる機体を即時に捕獲するのは難しい。対策は海外が先行しており、最新の知見に関する情報収集も求められる。

警視庁は5月に違法飛行の一斉摘発に乗り出し、東京都江戸川区の公園で無許可でドローンを飛ばしたとして、自称解体工の男(52)を航空法違反容疑で逮捕した。ドローンの飛行を巡り同庁が容疑者を逮捕したのは初めてで、上野公園(東京・台東)などで飛行させたポーランド人の男ら3人も書類送検した。

警視庁幹部は「遊び感覚の事件が多いが、テロリストの機体が紛れ込む恐れもある。東京五輪など国際イベントを見据え、今後も摘発に力を入れる」と話す。

不審ドローン対策が注目されたのは2015年、首相官邸の屋上でドローンが見つかった事件がきっかけだ。警視庁は同年にドローンを大型ドローンで捕獲する「無人航空機対処部隊(IDT)」を発足させ、網を打ち上げてからめ捕る「ネット発射装置」や、電波を使って操縦不能にする「ジャミング(電波妨害)」装置を順次導入した。

ただIDTは重要行事などに合わせた出動が多く、機材などが限られるために広い範囲を常時警戒することは難しい。

夜間では機体の発するわずかな光や音のみが手掛かりで「目視による探知や追跡を即座に行うには限界がある」(捜査幹部)というのが実情だ。

皇位継承関連の行事のため、都心の警備が強化されていた5月初旬にも、ドローンとみられる不審な飛行物体が皇居周辺で目撃されたが、物体の正体や関与した人物は明らかになっていない。5月の一斉摘発の4件は市民の通報で違法な飛行が発覚し、捜査で操縦者を特定した。

全地球測位システム(GPS)の精度向上を担う準天頂衛星「みちびき」の運用が18年に始まり、GPSの誤差は数メートルからセンチ単位に縮まった。これに伴い、ドローンの飛行精度も格段に高まった。積載能力も向上し、ビジネスや災害対策など幅広い分野で活用が期待される。

その半面、高い性能が悪用された場合の脅威も増す。18年8月には南米ベネズエラで爆弾を搭載した機体が要人を狙う事件が起きている。

元警察大学校警察情報通信研究センター所長でドローンに詳しい沢田雅之氏によると、海外では不審ドローン対策の研究が盛んだ。暗闇でも特殊カメラで機体を探知する装置や、ドローンに積載されたシステムをハッキングで制御する技術の開発が進む。欧州では訓練されたワシによる捕獲を検討した国もある。

沢田氏は「不審ドローン対策では即応性が求められ、各国共通の課題だ。導入可能な対策がないか、海外からの情報収集も重要だ」と話した。

[日本経済新聞夕刊2019年6月12日付]

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