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エリート男子高校生も料理すれば体感 試行錯誤の喜び土屋敦の男の料理道(8)

授業の初日には羅臼昆布、真昆布、利尻昆布、日高昆布など、産地の違う食材をそろえて生徒に選ばせる=PIXTA

さて、「『料理の作り方』は教えない」と書いたが、実はレシピも用意している。最後に「栄光キッチンラボ風の味噌汁レシピ」をご紹介しよう。なお、料理を通じて試行錯誤し探求することの面白さをお伝えしたくて続けてきたこの連載も、今回をもってお休みをいただくことになる。読んでくださった皆様に感謝したい。

【ゼロからの味噌汁レシピ】

手順1 とにかく作る。
手持ちの情報、経験だけで、味噌汁を作ってみる。自分が「何ができて何ができない」のかを知る。疑問点をあぶり出す。

手順2 素材を味わう。
味噌汁の材料から味や香りを構成する「情報」を集める。

手順3 どんな味噌汁を作るかを決める。
味、匂い、食感などから得た情報、6W3Hの制約条件を考え、どんな味噌汁が作れるのか、どんな味噌汁を作りたいのかを考える。コンセプト、方向性を決め、それを実現するにはどうすればいいか、仮説を立てる。

※料理の6W3H
Why    なぜ作るのか
What   何を作るのか
Who    誰が作るのか
Whom   誰に作るのか
When   いつ作るのか
Where   どこで作るのか
How long どれぐらいの時間をかけて作るのか
How many どのくらいの量で作るのか
How much どのぐらいの金額で作るのか

これらを踏まえたうえで、
How=どのように作るのか、方針を決める。

手順4 具なし味噌汁を作る。
自分たちが決めた方針にしたがって、それを実現するための方法を探る。でき上がったものを吟味し、失敗やズレがあれば、再調製する。これを繰り返す。

手順5 具(2種)を何にするか考える。
※具を決める際のヒント
・先人の経験に学ぶ(これまでどんな具の味噌汁が作られてきたのか)
・自分の体験から導く(生まれてからどんな味噌汁を食べ、何をおいしいと感じてきたのか)
・直観
・逆張り あえて常識的でない組み合わせに挑戦する

手順6 決定した具にしたがって、だしや味噌を調製する。

手順7 何度も作る。完成品をさまざまな角度から吟味して、細部に至るまで徹底して調製する。それを繰り返す。

手順8 作っていてもっとも心地よく、よどみなく体を動かせる手順を考える。

手順9 手順の心地よさと味のおいしさのトレードオフを考え、自分にとってもっとも納得できるレシピを完成する。

手順10 そのレシピにしたがって、何度も作り、吟味し、調製する→ルーティン化する。

手順11【重要】ときどき、生涯にわたって、レシピを検討し直し続ける。
情報集め(資料や既存のレシピを見る、新たな素材を探す、素材の味見をする)→仮説を立てる→作ってみる→成果物を吟味する→情報や仮説をもとにさらに調製する→吟味する→調製する→吟味する→調製する……(以下、繰り返し)
土屋 敦

ライター 1969年東京都生まれ。慶応大学経済学部卒業。出版社で週刊誌編集ののち寿退社。京都での主夫生活を経て、中米各国に滞在、ホンジュラスで災害支援NGOを立ち上げる。その後佐渡島で半農生活を送りつつ、情報サイト・オールアバウトの「男の料理」ガイドを務め、雑誌などで書評の執筆を開始。著書に『男のパスタ道』『男のチャーハン道』(いずれも日本経済新聞出版社)など

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