長期投資で企業応援 盛り上がる地域経済(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

経済を長期投資で盛り上げる徳島

澤上 動き出している人たちと言えば、面白くなってきているのが徳島のファンド仲間たちだよ。

 もともと、徳島経済の活性化を叫んで色々な活動をしていた仲間がいたんだけど、3年ほど前、そこへ長期投資の考え方を放り込んだんだ。企業を応援していく長期投資の考え方を、投資に縁のなかった人たちにお話ししてきた。すると、見る見る動きが活発になり、今では徳島の一般の人々も少しずつ巻き込み始めている。

草刈貴弘氏(左、撮影:竹井俊晴)

 同時に徳島の若手経営者向けセミナーも頻繁に開催してきた。特に要望が多かったテーマが、企業型DC(確定拠出年金)とiDeCo(個人型DC)の話。皆さん「DCとかiDeCoとか名前は聞いたことはあるが、そこから先はよく分からない、話を聞いてみたい」というわけ。

 さわかみ投信はDCやiDeCoの運営管理機関としての業務も行っている投資運用会社だ。早速、担当者を徳島へ派遣して、皆さんにDCの説明をしてさしあげた。すると、1社2社と採用する企業が出始めたんだ。

 実は話はこれだけで終わらない。今やお金を使うことが徳島経済の活性化につながることを悟った仲間たちの動きがどんどんエスカレートしているんだ。いい意味で悪ノリである。

 オペラ・コンサートをやって皆で楽しもうという企画は今年で3回目になる。参加者は最初200人、翌年は230人と増え、今年は500人を超えた。公演そのものは、さわかみオペラ芸術振興財団が仕切るが、それに地元の皆さんがどんどんイベントを上乗せしてくる。ちょっと着飾ってコンサートを楽しみ、その後のディナーを兼ねた懇親会には地元の阿波踊り連が乗り込んできたりとかね。やたらと盛り上がっている。

草刈 私もその勉強会はもちろん、経営者の方々との会合にも合流させていただきました。皆さん、本当に生き生きされていたのが印象的です。特に中心となっている方のパワーといったらブルドーザーのようでした。

 何より、「長期投資をすれば資産づくりができる。将来のお金の不安がなくなれば、皆が地元でお金を使うから経済を盛り上げることができる。これまでは地方は地盤沈下するだけだと思い込んでいたけど、全く逆。これで地方が復活する!」と本気で地元の皆さんに説きまくっていました。希望にあふれた話には、多くの人がどんどん集まってきます。

 もともと阿波踊りという観光資源があって、そこにオペラが加わり、さらに長期投資の成果として地元経済が潤えば、まさに地域活性化のモデルとなります。

 観光客を呼び込み、他の国や地域からお金を引っ張るだけでなく、自分たちで地元にお金を落として回すようにする。2つの効果で経済の拡大再生産に弾みがつく。これが進んでいったら面白いことになりますね。

澤上 そうなのよ。地域経済の活性化なんてのは、地元の人たちが動いて初めて実体が伴った永続性のあるものになる。そこへ長期投資を絡ませると、さらにスピードもワクワク感も高まる。地域の人たちがこのことに気付き始めたのが今の徳島だよ。これは大きいよ、すごいことになるぞ。

澤上篤人
1973年ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。ピクテ・ジャパン代表取締役を務めた後、96年あえてサラリーマン世帯を顧客対象とする、さわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立
草刈貴弘
2008年入社。ファンドマネジャーを経て13年から最高投資責任者(CIO)

[日経マネー2019年7月号の記事を再構成]

これまでの「カリスマの直言」の記事はこちらからご覧ください。

「日経ライフ&マネーFesta 2019」開催!
投資初心者から上級者まで、人生100年時代に必要なお金の知識が1日で学べる「日本最大級のお金のイベント」を今年も開催します(主催:日経BP)。開催は6月29日(土)、会場は東京・六本木の東京ミッドタウンホールで、入場は無料です。大江英樹さん、横山光昭さん、積立王子こと中野晴啓さんなどマネー研究所の人気連載陣に加え、今年は金融庁の遠藤俊英長官、優待投資家の桐谷広人さんにもご講演いただきます。年金制度の変更点や保険見直しに関する講演、日経マネー編集部員の億万投資家講座なども計画中です。詳細と事前登録は公式サイトまで。

日経マネー 2019年 8 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP
価格 : 780円 (税込み)


近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
注目記事
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし