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積立王子のヤング投資入門

金融業界、もっと「集団左遷」マインドがほしい 積立王子のヤング投資入門(24)

2019/6/18

廃店を免れるには、本部が課す新規融資のノルマ達成が必須条件で、毎回支店長自ら新たな貸し出し案件に奔走します。でもノルマ達成のための融資実行が真に顧客のためになるのか……。福山支店長は支店の利益と顧客本位のはざまで悩みます。そして、たとえ顧客が求めたとしても、結果的に顧客の幸せにつながらないと判断すれば、支店メンバーを納得させた上で融資をせず、ノルマ達成より顧客の真の利益を優先させます。その姿勢を「銀行員のプライド」と表現していてカッコいいのですが、この行動こそが「顧客本位の業務運営」です。

番組の中で繰り返し出てくるのが「お客様の夢の実現のために」というセリフです。金融という産業のミッションのひとつが顧客の夢や目標の実現であり、そのために必要な資金提供を行うことこそが銀行業の社会的使命であるという強いメッセージがそこには含まれています。

また、このドラマには特に地方銀行など地域金融機関の根本的な存在意義に関するテーマ性も存分に盛り込まれています。すなわち地域金融は地元に必要な産業維持や事業再生、そして新しいビジネスの育成といった地域経済の活性化を支える金融機能を担っているということです。

地域経済のためにリスクをとって成果を出すことで、地元の社会・生活者が元気で豊かになり、結果としてそこに立脚する地域金融機関も密着して健全に存続できるということです。ドラマでは、この地方経済のあるべき金融サイクルの姿も投影されています。もしかしたら目下、金融改革にまい進する金融庁の監修ではないか、と思ってしまうほど、金融業界に対するメッセージ性の強い内容になっています。

■投信選びでも生かせる視点

「集団左遷」の舞台は銀行ですが、金融の社会的機能という観点から資産運用業、中でも投資信託のミッションを考えれば、このドラマが伝える「顧客本位」に大いに共通項を見いだすことができます。

投資信託は一般生活者の幸せな人生づくりを支え、それを実現させるために存在しています。ヤングの皆さんにとって、投資信託の活用は豊かな人生を全うするための将来に向けた資産形成の手段です。選ぼうとしている投資信託は、その実現に必要不可欠な「長期・積み立て・分散」という適切な投資行動をしっかりかなえてくれる商品でしょうか。将来の目標に向け、正しく厳しくいざなってくれる相手(運用会社)であるとの信頼を心から持つことができる会社でしょうか――。そうした条件が備わった商品と運用会社こそが、真の「顧客本位」であるとの観点から、投信選びを心掛けてみてください。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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