W杯で逆転トライを 日本ラグビーに熱いエール作家・池井戸潤さん

自身初の「ラグビー小説」を出版した池井戸さん。「ラグビーボールにふれたのはきょうが初めて」(19年6月、東京・渋谷)
自身初の「ラグビー小説」を出版した池井戸さん。「ラグビーボールにふれたのはきょうが初めて」(19年6月、東京・渋谷)
アジア初のラグビーワールドカップ(W杯)が9月20日~11月2日に日本で開かれる。著名人に自分自身が思うラグビーの魅力を聞くインタビュー企画「W杯だ!ラグビーを語ろう」第9回は、作家の池井戸潤(いけいど・じゅん)さん(56)が本音トークをみせる。

池井戸さんは最新作『ノーサイド・ゲーム』(ダイヤモンド社)で、この競技の面白さを伝えながら、かつての人気がない日本ラグビー界に一石を投じている。インタビューでも、日本ならではの試合終了の合図「ノーサイド」の精神が「うそっぱちになっているんじゃないか」と苦言を呈した。厳しい発言だが、その底に流れているのは決して冷たいものではない。むしろ日本ラグビーの未来への熱いエールだ。

――なぜラグビーの物語を。

「5年ほど前、飲み会でラグビー関係者から聞いた話が面白くて、いつか書きたいと思っていました。僕自身は(慶応大学の)学生時代に友達と応援の旗をもって観戦したくらいで、何十年もご無沙汰していたのが正直なところです。上田昭夫監督が率いた慶応大学がトヨタ自動車に勝って日本一になった試合(1985年度、スコアは18―13)はとても印象に残っていますね。国立競技場がいっぱいでした」

――取材、執筆を通じて日本ラグビーの変化を感じましたか。

「『ノーサイド』とか『One for All , All for One(一人はみんなのため、みんなは一人のため)』だとか、そうした美しい言葉で語られるラグビー像が、うそっぱちになっているんじゃないかと思いましたね。選手やファンは日本ラグビー協会の被害者だと本当に思いました。1万5千人収容のスタジアムに毎回3千人くらいの観客しか来ないのに、幹部は平気でいられるんだから」

――人気回復のためにまず必要なものは。

「プロ経営者、きちんとしたマーケティング、若い世代のファン、そして良い選手、レフェリー。これらは絶対に必要でしょう。本当の危機感をもった人材が日本協会にいないといけない。難しいと思われているルールや微妙な判定を、わかりやすく、面白おかしく説明できる解説者を育てるのも大事じゃないかな」

「日本代表も強くなきゃいけないし、そのためには競技人口を増やす以外にない。子どもたちが面白いなと思える試合、あこがれを抱く戦績が要ると思うんです。海外チームに大差で負ける試合を繰り返していたら人気は出ない」