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カリスマの直言

強い米国株 金融緩和とAI競争力がけん引(藤田勉) 一橋大学大学院特任教授

2019/6/17

米国株は欧州株や日本株に比べて堅調だ(ニューヨーク証券取引所)=ロイター
「米FRBによる大胆な金融緩和余地、AIを中心とする米企業の競争力を考えると米国株は今後も世界の株式市場をけん引するだろう」

世界の株式市場で米国株の強さが目立つ。米中摩擦激化の影響を受けて過去1年間(6月10日現在、以下同じ)に欧州株(ブルームバーグヨーロッパ500指数)は2%下落し、日本株(東証株価指数)に至っては13%下落した。ところが米中摩擦の発信源である米国株(S&P500種株価指数)は3%上昇と相対的に堅調である。今後も中国やイランとの摩擦は長期化する可能性は高いものの、米国の株高は続くと筆者はみている。

第1の理由は、米国が大胆な金融緩和を実施する可能性が高いことである。2018年にトランプ大統領は米連邦準備理事会(FRB)議長として卓越した実績を持つイエレン氏をわずか4年で退任させ、金融政策の専門家ではないパウエル氏を議長に任命した。18年後半に連邦公開市場委員会(FOMC)は2度利上げしたが、S&P500は9月の高値から12月の安値までわずか3ヵ月で20%下落した。これに対してトランプ大統領はパウエル議長を厳しく批判し、「解任検討」との報道も出たほどだった。

■根強いトランプ大統領の低金利志向

不動産業を長く手掛け、債務不履行を4度経験したトランプ大統領は低金利志向が強い。パウエル議長は金融市場とトランプ大統領の圧力に屈して、12月の利上げからわずか半月後に利上げ停止を示唆し、その後、利上げ予測を撤回した。株価はこれを好感して大きく上昇に転じた。

米国長期金利は18年11月の年3.24%をピークに19年6月には2.07%へ低下し、米国の政策金利であるフェデラルファンドレート(FF金利)の年2.39%(5月末)を下回った。このためパウエル議長は近く、大胆な金融緩和に踏み切る可能性が高い。さらにトランプ大統領が20年の大統領選で再選された場合、FRBに対して金融緩和圧力をかけ続けると予想される。

米国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は、大規模な金融緩和が実施される余地があることを示唆する。今後、減税効果が切れるため、経済成長率が2%前後に低下すると予想される。さらに世界経済失速への懸念が高まり、商品相場が大きく下落している。原油価格(WTI先物)は19年4月の1バレル66ドルから6月には52ドルまで急落している。このため世界的にインフレ率は下落傾向となるだろう。

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