知らず知らず上から目線 定年地域デビューの落とし穴経済コラムニスト 大江英樹

写真はイメージ=123RF
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以前に一度、このコラムで地域活動について書いたことがありました。シニア男性が定年になった後、「地域との付き合いを大事にしなさい」と言われて初めて地元の自治会活動に目を向けてみるけれど、実際に地域に溶け込むのはなかなか難しいという話でした(詳細は2015年10月15日の「『定年後は地域活動』の落とし穴」を参照)。この状況は今もほとんど変わっていません。特に大企業で管理職や役員をやっていた人ほど、定年後の地域活動になじむのはなかなか難しい場合があるようです。

この理由は、こうした男性が地域社会のこと、しきたりや秩序、人間関係といったことがらについて何も知らず、理解しないまま入ろうとするところにあります。「俺は○○会社の元役員だ! 元部長だ!」と心の底で思っていると、自分では意識せずとも周りから見ると上から目線で接していると感じられてしまいがちなのです。

近所付き合いの悩み、「定年女子」も

ところが実は地域とのつきあいが難しいのは定年になった男性だけではありません。ずっと会社勤めをしてきて定年が近づいてきたり、定年になったりした女性も結構難しい問題を抱えているようです。というよりもむしろ女性のほうが難しいかもしれません。理由はそれまでのライフスタイルにあります。

先日、定年が近いあるビジネスウーマンの方に取材した時のことです。その方は地域でのご近所づきあいがとてもストレスだと言います。定年が近づいてきているので地域の人と仲良くしたいと思って自治会の集まりなどにもしばしば顔を出すようになったのですが、その会合で女性ばかりで話をしているのを聞いていると、ちょっとイライラすると言うのです。何か一つのことを議論していてもいつまでたっても結論は出ないし、問題はちっとも整理されない。そのうえ話があちこちに飛んだ揚げ句、何も決まらないまま「じゃまた今度ね」といって別れていくといった具合だそうです。

彼女にしてみればそんな会議はありえない、というのです。彼女は勤めていた会社で長い間管理職だったので、会議といえば事前に議題と論点を整理しておき、なるべくダラダラやらずに効率よく結論に導きたいという気持ちを持っています。ビジネスの世界というのは、企業としていかに収益を上げるかという共通の目的を持つのが大前提で、なにごとも「目的合理性」に基づいて進められていくべきものだからです。

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