トップスターと膝詰め 宝塚歌劇、過去最高動員への道宝塚歌劇団 小川友次理事長(上)

宝塚歌劇団の小川友次理事長
宝塚歌劇団の小川友次理事長

宝塚歌劇団の本拠地、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)の1階ロビーは平日の昼すぎから公演にかけつけたファンで埋まり、真っすぐ歩けないほどのにぎわいぶりだ。チケットは連日完売という人気を誇る同歌劇団だが、かつては空席が目立つこともあったという。観客動員を拡大し、大歌劇場ににぎわいを取り戻した旗振り役が宝塚歌劇団理事長の小川友次氏(62)だ。

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――2018年度も入場人員が過去最高を更新しました。

「18年度は宝塚大劇場の稼働率が102.9%、東京宝塚劇場(東京・千代田)は101.8%でした。東西の劇場を合わせた入場人員は01年に東京宝塚劇場が改築オープンして以来、過去最高の約220万人を達成しました。宝塚歌劇は名古屋や福岡など他の劇場でも上演していますし、全国の映画館で千秋楽をライブビューイングでお見せしていますので、そうした方たちを加えると、18年度は約310万人にご覧いただけたことになります」

「稼働率が100%を超えているのは、立ち見席も用意しているからです。立ち見でも見たいというお客様がいてくださるなんて、本当にありがたいことです。舞台上の団員たちからは、立ち見のお客様のこともよく見えています。『これだけ入っているのか』と、彼女たちには大きな励みになっているはずです」

――世界的にも珍しい、女性だけの歌劇団を率いるリーダーとして最も大切にしていることは何ですか。

「現場に一番近い理事長でいること。それが私の信条です。舞台は生ものです。団員の体調管理を含めて、最前線の現場が一番大事。けいこ場にも顔を出すし、若い団員の自主参加のレッスンも見に行きます。そうすると『この子は最近いい顔しているな』とか『ちょっと元気がないな』とか、すぐわかるようになります」

――現場主義を徹底するようになったきっかけは何ですか。

「かつて、『座席が赤い』といわれたような時代が宝塚にもあり、その変革にかかわった経験が私の原点です。宝塚大劇場や東京宝塚劇場の座席はすべて深紅なんです。ですから、お客様が座っていない席は赤く見える。14年に100周年を迎える前は、しんどい時期が続きました。今のようにチケットが完売するようなことはあまりなく、特に平日は空席が目立つ。『ああ、きょうは座席が赤いなあ』って。もちろん経営上、お客様にどれだけ来ていただけるかは大事ですし、空席が目立つと舞台上の団員たちのモチベーションが下がってしまいます」

まさか自分が宝塚歌劇を担当するとは

――そうした時期、1998年に宝塚大劇場の総支配人に着任しました。

「ご存じない方もいるかもしれませんが、宝塚歌劇は阪急電鉄の事業の一つです。私は大学を出て新卒で阪急に入社しました。大学時代は体育会野球部、阪急に入ってからもプロ野球の阪急ブレーブスなど、男ばかりの世界を走り回っていました。まさか自分が宝塚歌劇を担当することになるとは思ってもおらず、異動の辞令をもらっても『勘弁してくださいよ』と言ったほどでした。宝塚歌劇の舞台だって、それまでに新入社員の研修で1回見たきりでしたし」

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