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急増する「梅毒」 気づかぬうちに進行し失明も

Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回は、近年急増している性感染症の「梅毒」を取り上げる。梅毒は気づかぬうちに感染する上、症状や進行の仕方に個人差があるため、自覚もしにくい。放置していると、やがて失明や脳障害など重大な症状を引き起こすこともある。より身近な性感染症となりつつある梅毒から身を守るために、病気の特徴を知っておこう。

【ココがポイント!】
●梅毒の報告数が年々増えており、特に若い女性に急増している
●梅毒は性的な接触で感染する。性行為の方法によっては、咽頭部(のど)など性器以外の場所にも感染する
●初期には性器のしこりや潰瘍、全身の発疹などが現れるが、痛みなどの症状がないことがほとんどであり、自然に消えてしまうため、気づきにくい
●適切な治療をしないと、気づかないうちに病気が進行する
●晩期には心臓や脳の障害、失明といった重篤な症状を引き起こすこともある
●梅毒は何度でも感染する

2018年は7000件超、20代の女性に急増

――性感染症の「梅毒」が増えていますね。厚生労働省の「性感染症報告数」の年次推移を見ると、2015年には前年から1000件以上増えて2690件、2016年には4575件、2017年には5826件と、急増しているのが分かります。

そうですね。梅毒は2011年ごろから報告数が増え始め、2018年には暫定値で7000件を超えています。以前は男性の同性間での感染が多かったのですが、最近では異性間での性的接触による感染が多くなっています。

また、全体的に男性のほうが多いですが、近年は若い女性の感染の増加が目立ちます。東京都の2018年の年齢階級別・性別の報告数を見ると、10代、特に20代は、男性よりも女性のほうが上回っています。若い女性の感染が増えると、妊婦から胎児に感染することで発生する先天性梅毒が増えることも懸念されています。

――梅毒はどのようにして感染するのでしょうか。

梅毒の病原体は梅毒トレポネーマと呼ばれるもので、らせん状の姿をしていますが、肉眼では見えません。感染している人の性器などの患部に存在し、性行為で直接接触した粘膜や皮膚の小さな傷などから侵入して感染します。

オーラルセックス(口腔性交)で咽頭部(のど)に感染したり、アナルセックス(肛門性交)で直腸に感染するなど、性行為の方法によっては、性器以外の場所にも感染します。

――キスでも感染すると言われていますが、どうなのでしょうか。

咽頭部に病変がなければ、キスでの感染のリスクは極めて低くなります。しかし、オーラルセックスなどで咽頭部に感染している場合には、本人も気づかずに、キスでもパートナーへ感染させる可能性があります。

症状や進行は人それぞれ、初期には気づかないことも

――感染すると、どんな症状が出て、どのように進行していくのでしょうか。

典型的な進行の一例を挙げると、初期とされる第1期、第2期を経て、症状が表れない潜伏期に入り、その後、晩期とされる重症の状態に至ります。この過程で、全身に様々な症状が表れます。

ただし、これは分かりやすく示したもので、必ずしもこの経過をたどるとは限りません。第1期から第2期までの潜伏期間は4~10週間としていますが、もっと遅く第2期になる人もいますし、第1期がないまま第2期になったり、第1期と第2期に同時になったりする人もいます。また、潜伏梅毒になってから、再び第2期梅毒を発症する場合もあります。

それぞれの時期に特徴的な症状はありますが、症状は一時期で自然に消えてしまったり、出なかったりすることもあります。以下にそれぞれの時期の特徴を簡単にまとめますが、あくまでも典型的な一例として参考にしてください。

【第1期梅毒】
●男性はペニスや陰のう、女性は外性器など、感染した部位に「初期硬結(こうけつ)」と呼ばれる小さなしこりができる
●やがてしこりの中央部がえぐれてきて、「硬性下疳(げかん)」と呼ばれる潰瘍になる
●これらの症状に痛みやかゆみはほとんどなく、数週間でそのまま自然に消えてしまうため、見落とされることも多い

【第2期梅毒】
●第1期の症状が消えてからしばらく(4~10週間程度)たつと、「バラ疹」と呼ばれる赤い発疹が全身に出ることがある
●発疹が出る場所は人によって様々だが、手のひらや前腕部、足の裏に出ることが多く、咽頭部に病変ができることもある
●第2期の症状も第1期と同様に、痛みなどはほとんどなく、数週間から数カ月で自然に消えていく

【潜伏梅毒】
●第1期、第2期の早期梅毒が自然によくなっても、症状がないまま、感染した状態が続く

【晩期梅毒】
●治療をしないまま潜伏期を過ごすと、数年から数十年をかけて悪化していく
●「ガマ腫」と呼ばれるできものが全身の至る所にできたり、心血管疾患を引き起こしたりするほか、神経に侵入すれば、手足のまひや認知症のような脳障害が出たり、失明したりすることもある

――症状が出ても痛みなどがなく、自然に消えてしまうとなると、なかなか気づきにくいかもしれませんね。

そうなんです。例えば、男性は排尿時や入浴時などに性器を見る機会がありますが、ペニスや陰のうの裏側にしこりや発疹ができていても気づきにくいですし、女性は外性器を見る機会自体がなかなかありませんよね。

初期に感染に気づかないまま、性的な接触をしてしまうと、人にうつしてしまうこともあります。不特定多数の人と性的な接触を持つ機会がある人やあった人、症状に思い当たることがある人は、一度検査を受けておくといいでしょう。

保健所や感染症専門外来などで検査を

――梅毒の検査はどこで受けられますか。

梅毒の検査は判定が難しい場合があるため、できれば梅毒の治療経験がある性感染症科のある医療機関や、感染症の専門外来のある医療機関で受けるといいでしょう。感染が分かった場合、治療も安心して受けられます。

また、保健所では、HIV検査の一環で梅毒の検査をやっているところがあり、その場合はHIV検査と併せて匿名・無料で受けることができます。ただ、地域や時期によっては行っていないこともあるので、希望する場合は問い合わせてみてください。なお、性器に病変ができたときは、男性は泌尿器科、女性は婦人科での受診も可能です。発疹の場合には、皮膚科を受診することが一般的ですが、経験の少ない医師の場合には梅毒を疑わない可能性もあります。

――検査の結果、感染が判明したら、どのような治療を行うのでしょう。

梅毒には、ペニシリン系の有効な抗菌薬があり、海外ではその注射を1回打つ治療法が標準です。しかし、日本ではその注射が使用できないため、内服薬を1カ月程度飲んで治療します。ただし、病原体が神経に侵入する神経梅毒の場合は、入院して点滴治療が行われます。

梅毒は治療を受ければ治る病気ですが、重症になると、治療を受けても後遺症が残ることがあります。ですから、早めに検査を受けて、早期発見、治療につなげてほしいと思います。

また、梅毒は治療をしても免疫ができないため、何度でも感染を繰り返す可能性があります。そのため、自身の感染が分かったら、パートナーも検査を受けて、感染していた場合には、一緒に治療を受けることが大切です。

(文 田村知子)

今村顕史さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長。1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)

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