――ではかなり自由にデザインができたのですか。
「ブルガリは『これはやりません』とはっきりしていますよ。僕はルールがあった方がやりやすい。『これは難しい』と相手にいわれたら次から次へと違う方向へ進むタイプなんです。革のブランドなので布とかナイロンはできません、とかね。デニムも革がベースです。トートバッグは僕がゼロから作るなら、くったりしたものを考えますが、形がしっかりしているでしょう。僕が出せるぎりぎりのブルガリらしさに挑戦しました」
■ファッションはもっと、いびつなものでいい
――あらゆるブランドがコラボ商品に力を入れています。コラボビジネスの変化を感じることはありますか。
「昔はコラボの取り組みは面白そうだからやろう、という関係性から始まったものですが、今は良くも悪くもビジネスライク。ラグジュアリーブランドは2000年以降ストリート志向になりましたが、2015年からまたラグジュアリーに寄っていっているのではないかと思います。今回のブルガリとのコラボでも、守るべきブルガリらしさというのは高級感です」
――多くのブランドがユニセックスやジェンダーフリーをうたい、男女の境界をなくす商品が増えてきました。
「それはファッションというよりライフスタイルでしょう。ファッションはもっと、いびつなものでいい。着心地が悪いものはファッションの中にはいくらでもあります。みんなのためだとか、着心地がいいとか、ジェンダーフリーでみなさんに着てもらうとか語らなくても、これが着たかったら無理してでも着て下さい、というものでいいのではないでしょうか」