――ユニクロはあらゆる人の生活に合う服「ライフウエア」をうたっています。
「ユニクロは最高のライフスタイルブランドですが、ファッションブランドではありません。無駄だといわれても洋服にチェーンをつけるし、この時代におかしいだろうといわれても革を着る。それがファッションなんです。僕はユニクロを1回も買ったことがないし、着たこともありません。興味がない。自分の中ではユニクロはもう一生買わないようにしようと決めたんですね。違う理念を持った、違うものだからです」
■僕らが求めるのはマイノリティーのかっこよさ
――服そのものでなくても、ユニクロの発信の仕方や海外での展開などにも関心は向きませんか。
「そもそも僕は何億枚も売れる物を作りたくはありません。数を売りたくてやるものはファッションではない。ところが売れる物は作りたいのです。ここにジレンマがあります。また、人と同じ格好はしたくないといいながら、あるグループとは同じ格好をしたいわけです。そうしたファッションのジレンマというものをいつも抱えています」
「絶対数をどう見るかがファッション。僕らが求めるのは、マイノリティーのかっこよさといえます。マイノリティーを保つことが難しい。すぐにメジャーになってしまいますから」
――ブルガリとのコラボでも爆発的に売れるのは嫌だと。
「ブルガリとのコラボも本当にみんなに買ってもらいたいわけではない。共感して下さる人に買ってもらえて、その人たちが喜んでくれるのが一番うれしいですね」
(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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